【3/4】人を自殺させるだけの簡単なお仕事です

引用元:人を自殺させるだけの簡単なお仕事です

314名も無き被検体774号+2012/07/30(月) 19:24:58.55 ID:e6Xcvivh0.net

「いや、まだ大丈夫だけど、一瞬、覗かれたような感じがした」

「ああー。あれ、確かに覗かれてる感じしますよね」
青空はなぜか、はにかむように笑います
「ついにあなたも標的になっちゃったわけですね。なかまー」

「まだ決まったわけじゃない。俺の気のせいかもしれない」

「でも、仮に狙われ始めているんだとしてですよ、
 なんで私より先にあなたを狙うんでしょう?
 前回の経験から言うと、先に私を殺すはずなのに」

「俺もそう思ってたんだが、考えてみれば、今この場には、
 『死ぬべき人間』が二人そろってるわけだ。つまり――」




315名も無き被検体774号+2012/07/30(月) 19:25:41.50 ID:TUyGz3Xf0.net

うわぁぁぁ~気になるっ‼




316名も無き被検体774号+2012/07/30(月) 19:31:28.47 ID:e6Xcvivh0.net

「つまり、『お前を殺して俺も死ぬ』の形式が、
 いちばん手っ取り早いということですね」

納得したように青空がうなずきます

「相手の人、良い判断なんじゃないですかね。
 私と違ってくもりぞらさんは操られるの初めてだから、
 うまく抵抗することができないでしょうし。
 そっかー、私はくもりぞらさんに直接殺されるのか」

「さっさと言え、どうすれば操作に抵抗できる?」

青空はそっぽを向いて、つんとした態度で言います
「教えてあげません。教えて欲しそうだから」




317名も無き被検体774号+2012/07/30(月) 19:40:57.75 ID:e6Xcvivh0.net

僕たちはちょうど、街の広場に着いたところでした
木陰に入ったところで、僕は青空の後ろに回り
青空の細くてひんやりした首に、右腕を巻き付けます

青空は力を抜き、黙ってそれを受け入れます
”気をつけ”の姿勢のまま、後ろの僕に体重を預けます
僕の腕は少しずつ青空の首を絞めていきます

体を乗っ取られるのは初めての経験でした
あまりにも違和感がなくて、最初は自分の意思で
自分を動かしているかのような錯覚を受けました

おそらく今僕の脳は、「腕が動いたということは、自分から
腕を動かそうとしたということだ」と解釈しているのでしょう




318名も無き被検体774号+2012/07/30(月) 19:49:51.79 ID:e6Xcvivh0.net

青空の首に絡み付いた僕の腕に、徐々に力が入ります
やむを得ないと思い、僕は青空の体を乗っ取り、
自分(曇り空)の体を突き飛ばそうとします

しかし、僕と違い、青空には抵抗ができます
僕の操作に逆らって、一歩も動こうとしません
なるほど、青空は本当に僕に殺されたいようです

ですが、その抵抗から、僕はなんとなくヒントを得ます

青空の体がぐったりしてきたあたりで
僕の腕は徐々に青空の首から離れていきます
青空は僕の腕をすり抜け、地面に倒れます




319名も無き被検体774号+2012/07/30(月) 20:03:19.17 ID:e6Xcvivh0.net

無理に操作に逆らった僕の腕は
いったん全体の皮膚をひっくり返されて
硬いもので万遍なく殴打されたように痛みます

両手が自由に動くことを確認すると、僕は
眠そうな目で僕を見上げている青空に話しかけます

「つまり、『操作に抵抗しよう』とするんじゃなくて、
 『操作の上書きをしよう』とすればいいってことか」

青空は不機嫌そうな顔で、小さな咳をします
「惜しかったなあ。気付くの早すぎですよ」




320名も無き被検体774号+2012/07/30(月) 20:07:30.22 ID:8yk/f7qi0.net

引き込まれる

一気に読みたいぜ




321名も無き被検体774号+2012/07/30(月) 20:11:50.77 ID:e6Xcvivh0.net

「もしかすると、もとから知ってたんですか?」

「いや。俺の操作に、お前が抵抗する感じを参考にした。
 操りながら操られることで、とても効率良く学習できたらしい」

「なるほど……とは言え、体、めちゃくちゃ痛むでしょう?」

「ああ。自分が何しゃべってるかわからないくらい痛む」

「私もです。おまけに頭はくらくらするし。暑いし。
 くもりぞらさん、私、首の汗ひどかったでしょう?」

「べつに」

「ひどかったんです。ああ恥ずかしかった」
どうでもいいことばかり気にする女の子です




322名も無き被検体774号+2012/07/30(月) 20:18:05.83 ID:e6Xcvivh0.net

「さてと」、僕はしゃがみこんで青空の顔をのぞきこみ、
目をそらした青空の頬を強めに引っぱります
「いたいいたいー」と青空は気の抜けた声で言います

「なあ、なにが『教えてあげません』だよ?」

「あなたのまねです。ざまーみろ」

「しかも俺の操作に抵抗しやがった」

「おかげでコツを掴めたんでしょう、良かったですね」

僕は立ち上がろうとして、後方にバランスを崩し、
手をついてその場にへたりこみます
その拍子に、地面にあった枝で手を切ってしまいます
まあいい、と僕は気にせず放っておきます




323名も無き被検体774号+2012/07/30(月) 20:19:47.13 ID:4wnd+Egb0.net

本出せよこれ




325名も無き被検体774号+2012/07/30(月) 20:28:22.95 ID:e6Xcvivh0.net

僕たちはびっくりするほど体が動かなくなっていて
立ち上がるだけで汗だくになりました

石畳からの照り返しが暑さに拍車をかけます
芋虫みたいな速度で涼を求めて歩きます

広場の噴水のふちに腰掛けようとしたとき
僕は勢いあまって水の中に落ちました
腹筋に力が入らないとこういうことが起こるのです




327名も無き被検体774号+2012/07/30(月) 20:37:02.97 ID:e6Xcvivh0.net

水面に顔を出して、僕は顔を両手でこすります
広場にいた人たちの視線が僕に集まっています
青空は体の痛むところをおさえながら笑っています

僕は諦めて、両手をついて水中に座り、空を見上げます
飛行機雲がふんわりまっすぐのびています

近くの木にとまった二羽のカラスがこちらを見ています
もうすぐ餌になる対象を見るような面構えです




328名も無き被検体774号+2012/07/30(月) 20:44:02.76 ID:e6Xcvivh0.net

「なにやってんですか」と青空が言います
「また誰かに操られてるんですか?」

「涼しげでいいだろう」と僕は答えます

「体中痛いんだから、笑わせないでください」

「笑い死ね」

「びっしょびしょじゃないですか」

青空はそう言うと、噴水のふちに立ち
ひょいと飛んで僕の横に着水します

水飛沫があがり、僕は目をつむります
広場中の視線が再び僕らに集まります




329名も無き被検体774号+2012/07/30(月) 20:53:21.95 ID:e6Xcvivh0.net

十秒以上たっても青空が顔を上げないので
僕は青空が体を起こすのを手伝います

「溺死するところでした」と青空は言います
「こんな子供用プールより浅い場所で」

「『噴水で女子高生死亡』なんて、
 ニュースを見た人が首を傾げるぞ」

「気持ちいいですね」青空は目を閉じて言います
「今もう一回操作されそうになったら、抵抗できます?




331名も無き被検体774号+2012/07/30(月) 20:58:39.66 ID:e6Xcvivh0.net

「そこなんだよ。どうして向こうは追撃してこない?
 今なんか、頭を下げるだけで溺死させられるのに」

「抵抗されて、びっくりしてるんじゃないですか?
 経験のあるくもりぞらさんに聞きますけど、
 操作に逆らわれたとき、どんなことを思いました?」

僕は少し考えてから、答えます
「お前の場合、それ以前に色々とイレギュラーだったから、
 抵抗されても不自然に感じなかったんだよな」




332名も無き被検体774号+2012/07/30(月) 21:07:36.54 ID:e6Xcvivh0.net

青空は褒められたわけでもないのに
ちょっと嬉しそうな表情になります

「でも相手が仮にお前じゃなかったとしたら、
 確かに、驚いて、様子見に入るかもしれない」

「なるほど……。あ、そうだ。くらえくもりぞらさん」
青空はそう言いつつ、僕の顔に水を掛けます
僕も無言で二倍の量を掛け返します

しばらくそれを繰り返した後、噴水を出て服を絞り、
水をぽたぽた滴らせながらベンチに行き、
並んで座って服が乾くのを待ちました

時刻を知らせる鐘が広場に鳴り響きます

服が乾くと、青空はくしゃみとあくびを交互にして、
「それじゃあ、また」と言って帰って行きました




342名も無き被検体774号+2012/07/31(火) 01:02:40.41 ID:UnXFum7+I.net

追いついたー
すごい面白いなこれ!




343名も無き被検体774号+2012/07/31(火) 01:08:35.28 ID:b+xqAtiY0.net

俺も追いついた!
今世紀最大の良スレの予感。

がんばって完結させてくれよな!




369名も無き被検体774号+2012/07/31(火) 22:34:33.50 ID:rIGoNaRq0.net

ひょっとすると、僕はもう、二度と青空に
会うことはないのかもしれないな、と思います

向こうがなりふり構わずに来れば、
僕たちがちょっとやそっと抵抗したところで、
速いか遅いか程度の差にしかならないでしょう

どうせなら部屋を思いっきり汚しておこう、
そう僕は思います
片付ける人の苦労を少しでも増やすために

それから二週間が過ぎます




39712012/08/01(水) 10:50:19.65 ID:o8xWRF6G0.net

なんかおかしいと思ったら
>>369と>>371の間に本来これが入るはずだったんだな



その日、喫茶店で本を読んでいると、
自分の名前が呼ばれたような気がしました
もちろん、”くもりぞら”ではない方の

顔を上げると、店員が僕の顔を覗き込んで、
「やっほー」と手を振っていました

同学部の先輩、顔を合わせれば
挨拶はする程度の仲の人です

しばらく、スクリプトに従ったような
様式に忠実な会話を僕らは交わしました




371名も無き被検体774号+2012/07/31(火) 22:42:27.33 ID:rIGoNaRq0.net

不自然でない程度の時間が経つと、
先輩に気付かれないよう、そっと店を出ます

この店にくるのはもうやめにしよう、と僕は決めます
結構お気に入りの場所だったのですが、
知人がいるとなると、どうしようもありません

次の店を探さなきゃな、と溜息をついたとき
ふいに僕は体をのっとられました

遅かったじゃないか、と僕は思います

どうくるのかと自身の体の様子を見ていると、
まっすぐどこかへ向かって歩きはじめます




372名も無き被検体774号+2012/07/31(火) 22:48:32.83 ID:rIGoNaRq0.net

これから味わうであろう痛みを想像しながら、
僕は操作に抵抗して、口を動かします

自分を殺そうとしている相手との
コミュニケーションを試みます

「二分でいいから、話を聞いてくれ」

しかし僕の体は構わず動きつづけます

「あんたにも関係のある話なんだよ」

舌は思い切り攣ったような痛みが走り
唇の端が切れて血が垂れてきます




375名も無き被検体774号+2012/07/31(火) 23:03:09.25 ID:aZOJ4cxH0.net

さて、どうなるか楽しみだ




376名も無き被検体774号+2012/07/31(火) 23:06:14.80 ID:rIGoNaRq0.net

「なあ、そもそも、どうして自殺させるべき対象が、
 頭にぱっと浮かんでくるんだと思う?」

慎重に言葉を選びながら、僕は言います

「俺はこれまで、六人の標的を自殺させてきた。
 たぶん、お前と同じようなやり方で。
 だが七人目を殺すことが出来なかった」

「そうして今、お前に命を狙われてる。
 以前自分が他人にしていたことを、
 今度は他人に自分がされているわけだ」




378名も無き被検体774号+2012/07/31(火) 23:13:54.91 ID:rIGoNaRq0.net

「操られる側になって分かったことだが、
 『人の体をのっとって操れる人がいる』
 ということを前提として知らない限り、
 自分が操作されている事実には、
 なかなか気付けるものじゃないらしい。

「それくらい自然に感じられるんだ、
 体をのっとられて動かされるってことは。
 あるいは、起こっていることが不自然すぎて、
 事実を受容できないのかもしれない」

「そこまではいい。しかし、ここから俺が言うのは、
 証拠はないし、論理が飛躍しているし、
 何より自分にとって都合がよすぎる考えだ」




379名も無き被検体774号+2012/07/31(火) 23:20:40.79 ID:rIGoNaRq0.net

「でもな、仮にだ。人の体をのっとる俺たちもまた、
 実に自然に、体をのっとられているんだとしたら?
 俺たちは自分で考えて人を殺しているように感じているが、
 実際のところ、操られているだけだったとしたら?」

そこまで言って、僕は限界を悟ります
これ以上喋ることは出来なさそうです

足が止まる様子はありませんでした




380名も無き被検体774号+2012/07/31(火) 23:26:37.42 ID:rIGoNaRq0.net

辺りは薄暗くなってきていました
道路には、浴衣を着た小さな子供や
自転車を漕ぐ小学生の男の子たちや
ちょっとお洒落をした中学生のカップルなど
街の祭に向かう人がちらほら見られます

八歳と六歳くらいの兄妹が
互いに虫よけスプレーをかけあって
その匂いが僕のところに流れてきます

少し遠くから笛の音が聞こえてきます
焦げたソースの香りもしてきました

名前を呼ばれた気がしました




381名も無き被検体774号+2012/07/31(火) 23:36:58.46 ID:rIGoNaRq0.net

僕の目は動きませんでしたが
視界の隅にブルーのスカートが見えました

「あの後、すぐ仕事が終わったんだよ。
 それで、歩いてたら、君の姿を見つけて」
その声で、僕は相手が誰だか知ります

「ねえ」と先輩は言います、
「さっきのって、やっぱり独り言だよね?」

僕は無言で先輩の顔を見つめます
先輩は僕の口元を見て、目を丸くして、
「血、出てる」と口を指差して言います




382名も無き被検体774号+2012/07/31(火) 23:40:01.64 ID:7kQeC5kq0.net

wktk




383名も無き被検体774号+2012/07/31(火) 23:42:50.71 ID:rIGoNaRq0.net

僕が何も言おうとしないのを
動揺の証と受け取ったらしい先輩は
なぜか「大丈夫だよ!」と励ましてきます

「私の友達にも、君みたいな子、いたよ。
 でもそれはただの一時的な病気で、
 別に特別気に病むことじゃないんだよ」

よく分かりませんが、ひとまず、
ある点において手間が省けました

僕は先輩の体をのっとり、言うことを聞かない
自分の体を地面に叩きつけます

柔道で言うところの大内刈を、
先輩の体を使って僕にかけたわけです




384名も無き被検体774号+2012/07/31(火) 23:50:15.48 ID:rIGoNaRq0.net

単純な脇固めを極め、僕の動きを奪います
そのまま先輩に喋ってもらうことにします
僕の体は先輩を振り払おうとしますが
その動きは僕自身が抵抗して軽減します

「あんただって、いつかは俺たちみたいに、
 どうしても殺したくない相手に出会う。
 そして次の瞬間にはあんたが命を狙われるんだ。
 そういう繰り返しは、もうやめにしないか?」

そう言った後、続ける言葉を考えて、
しばらくその体勢のままでいると、
いつのまにか僕の体の操作は解けていました

ここまですることはなかったのかもしれません
地面に転んだ時にぶつけた肩が痛み出します




385名も無き被検体774号+2012/07/31(火) 23:57:02.42 ID:rIGoNaRq0.net

僕は先輩の操作を解除しますが
先輩はじっと目を瞑ったまま、動こうとしません

何かいって離れてもらおうとしましたが
口がまったく言うことをききません
この分だと食事にまで支障をきたしそうです

もう一度先輩の体をのっとり、僕を解放します

「こんなことするつもりはなかったんだよ」
先輩は青ざめた顔で言います、
「それに、自分でも意味の分からないこと
 口走っちゃったり、私、どうしたのかなあ……」

「夏ですし」と僕は言います、「そういうこともありますよ」




39112012/08/01(水) 00:34:11.99 ID:o8xWRF6G0.net

>>385の最後の一行はすごい勢いで忘れてくれよな! 忘れてくれよな!




46812012/08/04(土) 20:48:18.08 ID:Axa50L7/0.net

いままでのあらすじ
・>>385の最期の一行は忘れろ! 純粋なミスだ
・>>369と>>371の間に>>397が入る予定だった
・とっくに落ちてるものと思ってた、保守に感謝




473名も無き被検体774号+2012/08/04(土) 21:07:42.00 ID:Axa50L7/0.net

「ねえ、怪我してない? 大丈夫?」
先輩がそう聞いてきます

口をきくことのできない僕は、頷いて
「大丈夫」という意志を示そうとしましたが、
先輩は僕が声を出せないのを
ショックのせいだと思い込んだようです
泣きそうな顔で謝り続けて来ます

少し気の毒に感じましたが
説明の仕様がないし面倒なので
僕は先輩の体を硬直させると
その場を逃げ出しました




476名も無き被検体774号+2012/08/04(土) 21:16:15.55 ID:Axa50L7/0.net

祭に向かう人の流れに逆らって
重たい体を引きずって僕は家に帰りました

アパートに着き、自室の鍵を開け中に入ると、
服も脱がずにベッドに体を投げ出します

部屋は蒸し暑く、体は痛みます
扇風機をつける元気さえありません
ひどく喉が渇いていましたが
体を起こして水を汲みに行くのさえ億劫でした

いろいろと面倒だなあ、と僕は思います
「ここがくもりぞらさんの家ですか」と青空が言います




477名も無き被検体774号+2012/08/04(土) 21:27:37.30 ID:Axa50L7/0.net

僕は起き上がって声のした台所の方を見ました
冷蔵庫の照明に照らされた青空の顔が目に入ります
青空はハイボールの缶を勝手に取りだして
プルタブを引いてごくごく飲んでいます

缶から口を離すと、青空は「おいしいー」と笑います
僕は安心して再びベッドに横になります




478名も無き被検体774号+2012/08/04(土) 21:36:06.45 ID:Axa50L7/0.net

「お久しぶりです、くもりぞらさん――っていう台詞は、
 本来もう少し前に言うべきだったんですが、
 なんだか私に気付いてないみたいだったんで、
 ここぞとばかりに尾行させてもらいました」

僕は何か言おうとしますが、上手く喋れません
青空はロング缶をひとつ空にすると、
「反撃開始ー!」と言って部屋に入ってきます
顔はうっすら赤く、酔っ払っている様子です




479名も無き被検体774号+2012/08/04(土) 21:43:10.38 ID:Axa50L7/0.net

僕に動く気力がないのを知ってのことか
あるいは単に酔っ払っているからか
青空は人の部屋を漁りはじめます

煙草のカートンを見つけると、青空は
「お酒を捨てられた仕返しです」と言って
ゴミ袋に放り込みます

CDや本も、ほとんど捨てられます
青空なりの基準が存在しているらしく
青空はときどき「これはよし」と言って
一部のものは、棚に戻されます




480名も無き被検体774号+2012/08/04(土) 21:46:06.97 ID:YAwDR5oI0.net

ワクワク




481名も無き被検体774号+2012/08/04(土) 21:50:16.00 ID:Axa50L7/0.net

僕は青空に手招きして、身振り手振りで
コップに水を汲んでくるよう頼みました

青空は台所でコップに冷たい水を注ぐと
「ほーら水ですよー」と言いながらやってきて
ベッドに寝る僕の顔に1mくらい上から垂らします

僕は口を開けてどうにか水を飲みます
顔もベッドもびしょ濡れになりますが
少しでも水を飲めたことを僕は喜びます




482名も無き被検体774号+2012/08/04(土) 22:00:45.39 ID:Axa50L7/0.net

「くもりぞらさん、今日は一段と元気ないですね」
ベッドに腰掛けた青空は、空き缶で僕の頭を
こつこつ叩きながら言います、「でも私は元気です」

僕は「後で見てろよ」という目線を送ります

「出て行ってもらいたそうな顔してますね」
青空は楽しそうに言います
「だから出て行ってあげません。あはは。
 ――それにしても、くもりぞらさん、
 さっきから喋りませんね。動きませんし。
 疲れてるんですか? なんかありました?」

僕が何も答えないのを見て、
「ん、まあいいや」と青空は言います
「とにかく、千載一遇のチャンスですね」




483sage2012/08/04(土) 22:02:36.41 ID:FCIETdtc0.net

何が始まるんです?




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