1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 05:15:20.79 ID:PPg+erii0
2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 05:15:51.02 ID:qvVQCLY20
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 05:21:26.70 ID:PPg+erii0
当時お小遣いなんて月1000円程しか貰っていなかったのでギターを買うために貯金した。
僕はあまりコミュニケーションを取るのが上手ではなかったので友達も少なかったし遊びに行ってお金を使うなんてことも多くなく、お年玉等含めて半年ほどでそのお金は溜まった。
始めるからにはそこそこのギターを買いたいと思って楽器屋で「初めて買うんですが、長く続けられるようなギターが欲しいです」と言った。今思うとうまく言えてなかったかもしれない。
店員さんのおすすめを聴きながら慎重にギターを選んだ。
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 05:22:05.37 ID:J2XtuwYq0
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 05:29:13.58 ID:PPg+erii0
店員に安いアンプ、チューナー、シールド、ピック等の初心者セットを付けてもらってその時は「最近の楽器屋は太っ腹なんだなあ」とか思っていた。
ギターとを買ったその日はすぐに家に帰ってギターをソフトケースから出して眺めて一緒に買った教則本を一晩読んだ。
学校に行っても休み時間に教則本を読んでふむふむ言ってみたりしてた。
リア充だったら「えー○○君ギター始めんの~~~?」みたいな話題で盛り上がったのかもしれないが、学校での空気と溶けこむスキルで右に出るものはいないだろう僕はひとりひたすらに勉強と練習を繰り返した。
今思うと「あいつぼっちのくせにギター始めようとしてんぜプププ」くらい思われていたんじゃないかと死にたくなる。
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 05:33:51.59 ID:PPg+erii0
公立の高校に落ちた。勉強は出来る方だったが、どうも面接で緊張して自分でも何を言っているのかわからない状況になっていたことだけは覚えている。
当然高校でもクラスに馴染めず、ぼっちになった。
高校は進学校でとにかく勉強、勉強という感じだった。
部活動もあったにはあったが1日1時間程度しか活動できず、軽音楽部なんてものはなかった。
ギターを毎日練習し続け夏休みに入り、僕は初めてライブハウスに行ってみようと思った。
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 05:35:54.47 ID:h94Iort90
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 05:36:31.99 ID:6F6Vi0g10
27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 05:39:18.11 ID:PPg+erii0
その日は確かロックバンドのブッキングイベントだったと思う。
ライブハウスに入ったあの日。なんというか、感動していたんだと思う。
音楽を通じて人とコミュニケーションをとって、自分の思いを音に乗せて伝えようとする姿に憧れた。
僕はバンドをしてみたいと初めて思った。
29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 05:44:47.18 ID:PPg+erii0
かっこよかったですとか来てよかったですとか、正直すごく羨ましかった。嫉妬した。
その分、僕があの場に立って女の子に囲まれる妄想も大きかった。
その時女の子に声をかけられた。
「このあと、中で打ち上げやるんですけどよかったら来ませんか?」
女の子に声をかけられるなんて滅多になかったので多分「あ、あ、はい・・・・・」と返事してたんだと思う。
なんで僕に声をかけてくれたんだろう。もしかして僕のこと気になってるのかな・・・・・?なんて思った。気持ち悪すぎる。
30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 05:51:54.91 ID:PPg+erii0
その子はライブハウスのスタッフで、中にいる人全員に声をかけていた。
打ち上げ自体はすごく楽しかった。大きなテーブルを囲んで笑い合い料理を食べお酒を飲んでいた。
僕はお酒は飲まなかったけど、お酒を飲んでいるんじゃないかっていうくらい頭から何かが沸き上がっていた。
学校での僕の姿なんて知ってる人がいるはずもなく、みんな普通に話しかけてくれたっていう事実が僕を大きく揺さぶった。
さっき声をかけてくれたスタッフ、Uさんとも話した。
「今日はどのバンドを見に来たの?」
「たまたま、ライブハウスに行ってみようと思って・・・・・」
「そうなんだ!楽しかった?」
「はい・・・・・僕もバンドやってみたいなって思いました」
うまく話せていたかは別としてギターを弾いていることや、好きな音楽、いろんなことを話した。
Uさんは20歳の大学生だった。僕は高校生だと思っていた。Uさんもちょっと気にしているみたいだった。
31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 05:51:58.09 ID:1TY21ZOy0
34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 05:58:03.62 ID:PPg+erii0
その日、Uさんに僕の連絡先を教えた。「また来てね」って行ってくれたのがすごく嬉しかった。
翌日、僕はライブハウスの上のスタジオでメンバー募集のチラシをかき集めた。
なるべく歳が離れていない、趣味が合う、怖そうな人がいないという点に注意して探したが、あまり見つからない。
僕の趣味はハードロックだった。その当時の若い子はハードロックなんて聴かなかった。今もどうかは知らない。
2週間程たった日、Uさんからメールが来た。
「来週ライブハウス主催のセッション会があるんだけど来てみない?僕君のギター聴いてみたいな(顔文字)」
すぐに行きますと返事をした。
36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 06:00:18.20 ID:s1Ruyddv0
38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 06:02:48.47 ID:kVs6sekx0
39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 06:03:31.56 ID:PPg+erii0
その日やる曲を教えてもらい。CDショップですぐにその曲の入ってるCDを買った。
その時にやった曲はNOFXというバンドのLinoleumという曲だった。
生まれてはじめてパンクを聴いた。衝撃だった。
特にうまいとも感じないボーカル、雑然とかき鳴らされるギターとベース、めちゃくちゃに速いドラム。
2分少々の曲になんとも言えない衝動を感じ取った。
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 06:08:48.49 ID:PPg+erii0
曲自体は簡単だったので弾きこなすまでに時間は掛からなかった。
セッション会当日、緊張しながらライブハウスの扉を開いた。
その時一緒に演奏したのはボーカルとベースがAくん、リズムギターはGくん、ドラムはRくん、リードギターが僕だった。
Aくんは高校生で髪を金髪に染めていて正直苦手なタイプだった。
Gくんはあんまり覚えてない。
Rくんはいかにもって感じのチャラチャラした大学生だった。
他の人の演奏を見たときはそれはそれは緊張した。
やっぱりみんな慣れてるんだ。こんな人達の前で演奏して怒られないんだろうか・・・・・。
43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 06:11:57.63 ID:PPg+erii0
気付いたら終わっていたくらい。
終わった後にAく●に話しかけられた。
「お前結構うまいんだな!なんか自信無さ気だったから大丈夫かよって思ってたけど意外だったわ~」
「そ、そうかな・・・・・あり、あ、ありがとう・・・・・」
金髪の人ってなんであんなに威圧感あるんだろう。金玉でも握られてるような気分になった。
46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 06:18:21.43 ID:PPg+erii0
怖かったけど、とにかく嬉しかった。僕はやりたいと答えた。
ただその日のことをこんなにも覚えているのはその後にあった出来事のせいだと思う。
Uさんが演奏の様子を録画していたらしくDVDをくれた。
2003年当時うちにはDVDプレーヤーなんてなかったのでPS2を友達から借りて見た。
愕然とした。
僕は立って弾いてるだけだった。
他のメンバーは音楽に合わせて体を動かしたりしているのに僕だけが明らかに浮いていた。
ステージパフォーマンスというものを初めて考えさせられた。
50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 06:23:11.64 ID:PPg+erii0
その時のメンバーはベースボーカルAくん、ドラムRくん、ギターが僕の3ピース構成だった。
ジャンルは所謂メロコア、その頃はHi-STANDARDの後継バンドがたくさん出てくる時代で割りと勢いのあるジャンルだった。
その頃僕はバンドを続けていれば自然にプロにもなって、働かなくても生活できるんじゃないか?ラッキーとか考えてた。
55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 06:30:55.64 ID:PPg+erii0
Aくんの家で夜中にひたすら曲を練って、翌日スタジオであわせてみるとイメージと違ったり、辛かったけどやっぱり楽しかった。
1年程経った。バイトをしてお金を貯めてたくさんライブもしたし、どんどん自分のイメージが膨らんでいって、もっともっと色々なところでライブをしたいと思った。
しかし高校2年の夏事件は起こる。
57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 06:35:01.29 ID:PPg+erii0
2年の夏の時点で留年直前、親と学校で三者面談をした。
とにかく怒られた、夏休み中毎日学校に来て講習を受けろと言われた。
そのことをメンバーに相談しようと決心したスタジオ練習後。
僕達が拠点としているライブハウス、仮にライブハウスKとする。
ライブハウスKでお世話になっている先輩のバンドがかなり大きなライブハウスでライブをするらしい。
そのライブのオープニングアクト(要するに前座)をやってほしいという話が入ってきた。
ライブの日程が9月の頭、あと2ヶ月で音源を作ってライブの日に配ろうという話だった。
58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 06:38:53.11 ID:PPg+erii0
その日は、「まだ予定がわからないから追々話すよ」なんて行ってはいたけど、僕は悩みに悩んだ。
夏休み練習できないとなると、CDは愚か、ライブすらうまく出来るかどうかあやしい。
本当なら悩むまでもなく学校のほうが大事である。
AくんもRくんもその話をすれば、じゃあ仕方ないな。ライブは断ろう。といってくれると思った。
でもそのことでふたりは、表に出さずとも相当がっかりすると思った。
せっかく僕を拾ってくれたふたりをがっかりさせるなんて絶対にできない、と思った。
61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 06:43:53.90 ID:PPg+erii0
バンドを頑張っていて、夏休みはその活動で講習には出れない。
その高校の所謂留年講習と言うものは留年の可能性がある生徒を集めて、ギリギリ留年を免除しようというもので
出なければ留年は確定といってもいい、という話だった。
だからもし留年してしまったとしても、許して欲しい。と話した。
母親は無言でその話を聞いていて、話し終わると「お父さんと相談するから」といった。
僕は話が通じることを願ってその日は眠りについた。
62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 06:47:11.72 ID:di7cgVTD0
64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 06:49:48.88 ID:PPg+erii0
怒られた、今までこんなに怒られたことはなかったというくらい怒られた。
父親は音楽が好きだから、許してくれると思っていた。甘かった。
僕は黙って聞いていたが、
「そんなにギターが学業の邪魔をするならギターなんて捨ててやる。持って来い」
の一言で僕は今までにないくらい怒った。
父親と初めて殴り合いの喧嘩をした。が貧弱な僕は勝てなかった。
父親は僕のギターを折って捨てた。僕は泣いた。一晩中泣いた。
ギターを捨てられたことより、僕がバンドと出会ってからの変化を父親が認めてくれなかったのが悲しかった。
65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 06:54:13.48 ID:PPg+erii0
まっさきにRく●に電話した。Rくんは大学のために地元からこっちに出てきて彼女と暮らしていた。
結局のところ僕はただの高校生で誰かに頼らなくては生活できないということが悲しかった。
Rくんは理由も聞かずに泊めてくれた。その優しさもまた痛かった。
66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 06:58:41.80 ID:PPg+erii0
1週間後僕は家に帰った。
父親はそのうち戻ってくるだろうという態度だったのか驚かなかった。
母親はひたすらに今までどうしていたのとか、なんでこんなことしたのとか聞いてきた。
その日の晩、僕はバンドのために学校をやめること、高校卒業の歳までは家で貯金をして家をでることを伝えた。
母親は泣いていた。父親は「勝手にしろ。ただ、いざとなったら親に頼ろうなんてことを考えてるならやめておけ」と言ったが、何故かその時僕は自信満々だった。
バンドをやっていれば、生活するお金なんていくらでも手に入る。そう思っていた。
67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 06:59:50.29 ID:Afvd0Cxj0
70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 07:02:21.66 ID:PPg+erii0
学校はいいの?とか聞かれても、まあ大丈夫だよとか誤魔化したりして。
9月のライブはそこそこに成功して無料配布CDも200枚用意したが、すべて配りきった。
配った時に女の子に「かっこよかったです!」っていわれるのはいい気分になった。
Uさんも「たくさん聞くね!」って言ってくれて何もかもうまく行っているような気分になった。
71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 07:08:22.98 ID:PPg+erii0
Aくんは僕の1つ年上だったので高校を卒業し就職した。20歳。
Rくんの大学はそこそこに有名で就職活動したくねえ~とかいいつつも就職活動しながらバンドを続けてくれた。22歳。
僕は家を出てコンビニで夜勤のアルバイトをしながらバンドを続けていた。19歳。
バンドはそこそこに有名になっていた。地元のライブハウスでは知らない人はいないくらいだった。
ただ自分のイメージしていたほど有名になっているわけでもなく、なんとなくやりきれない気持ちもあった。
72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 07:13:39.73 ID:PPg+erii0
賞を取ればメジャーデビューにも繋がるという話で、かなりテンションが上がっていた。
結果そのコンテストでは審査員特別賞を取った。
その年にアルバムのレコーディングに入った。
今まで何度かデモCDを作ったことはあったがプレスしたCDを作るというのはやったことがなかったので完成した時は感動で泣きそうになった。
結局CDは全国に流通し、500枚だかそのくらい売れていたと思う。
73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 07:19:38.91 ID:PPg+erii0
レコ発ツアーで全国を回っても、お金はかかるし、ギターを捨てられたあたりから機材集めにはまってしまって、ギターやらエフェクターやらを買ってお金はなくなる。
もっと楽々と生活できるようにならないとダメだと、焦っていた。
翌年、成人式で中学の同窓会があった。一応呼ばれてはいたけど、僕は行かなかった。
学校の奴らなんて嫌いだと思っていたし、僕を道端の石ころ程度にしか見ていなかったあいつらを見返してやるという気持ちも強くなった。
バンドはゆっくりと活動していくが、僕は焦りっぱなしだった。
75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 07:22:10.69 ID:zdbiUcI10
76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 07:23:19.46 ID:PPg+erii0
そのことを提案すると、ふたりは少し驚いたような顔をしていた。
「ちょっと焦り過ぎじゃないか?」
「そんなことはないよ、むしろこれでも遅いくらいだと思う」
「俺達もバンドは好きだけど、でもそれだけにすべての時間を使えるわけじゃないんだよ」
僕はその時に気付いた。
ああ、ふたりはバンドを趣味レベルにしか見ていなかったんだ。プロになりたいだとか、真剣に考えていたのは僕だけだったんだ。
79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 07:28:03.17 ID:zdbiUcI10
割とマジですげえよ尊敬するよ
80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 07:28:07.65 ID:PPg+erii0
毎回良いと言ってくれたわけではなかったがそのたびに思ったことを真剣に僕に教えてくれていた。
正直Uさんのことがその時でも好きだった。
むしろUさんに見てもらいたいという気持ちでバンドを続けてきた僕はUさんにバンドのこういう面を見せるのを躊躇ってはいたがもう僕の話を聴いてくれるのは彼女だけだと思った。
Uさんにそのことをメールで伝えると、詳しい話をききたいから週末に飲みに行こうと言われた。
83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 07:34:19.80 ID:PPg+erii0
Uさんは真剣に話を聞いてくれて、ひと通り話を聞いたあとに
「難しいけど、いろんなテンポとか思いとかそういうのを集めてバンドが出来上がるんだと思う。1人の気持ちで周りがくっついて動くだけなんて、バンドとはいえないんじゃないかな」
といってくれた。
悲しいけど事実そういうことだったんだと思う。結局、僕が夢見ていた栄光の道は現実には存在しないということがはっきりとわかった。
このバンドを続けていく以上は僕とふたりのペースは明らかにバラバラで、そのテンポをうまくみんなであわせていくしかないんだ。
バンドをやめて別のバンドを組むというのは僕には考えられなかった。とにかく僕にはこのバンドしかなかった。
85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 07:38:03.54 ID:PPg+erii0
Uさんの「家泊まってく?」という問にうつろな意識で首を縦に振ったが、冷静になって考えてみると
「一人暮らしの社会人女性の家に泊まりに行くっていうのは・・・・・つまりそういうことだよな・・・・・・」
と僕の童貞脳はビンビンに反応していた。
伊達にこの歳まで童貞を守ってこなかった。むしろ、Uさんのために僕の童貞はある。とか考えていた。
アホだ。
86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 07:41:23.29 ID:PPg+erii0
正直今でもあの時の感覚とか匂いとか思い出してしまうくらい。
ベッドにふたりで腰掛けて軽くウィスキーとか飲みながらもう少し話をしていた。
僕はこの人が好きなんだって再確認した。
今日、この人に思いを伝えようと思った。相変わらずせっかちだった。
87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 07:41:39.10 ID:46CwE/3PO
92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 07:44:32.34 ID:PPg+erii0
「ん、なに?」
「す、好きです・・・・・・」
Uさんは驚いたような、困ったような、なんか色々考えてたような気もするけど最終的に
「私も好きだよ」
って言ってくれて、僕は彼女と付き合うようになった。
それから、僕は今まで以上にバンドを頑張ろうと思った。焦ることではなく周りに歩調を合わせて。
93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 07:45:21.00 ID:zdbiUcI10
95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 07:46:50.62 ID:uy2gQJ3Y0
99:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 07:49:29.41 ID:PPg+erii0
バンドのメンバーには付き合っていることを言わなかった。なんとなく自分が腑抜けているように見えるのではないかと思ったからだ。
ある日の練習後Rくんから「今日これから軽く飲まない?」と提案された。
「いや、これからちょっと用事あってさ」
「なに?女の子?お前もついに?」
「あー、まあUさんのとこに用があって」
と言うとAく●に
「え、お前Uさんと付き合ってんの?」
と聞かれた。
僕は、「いや、まあ、そういうんじゃないよ・・・・・」とお茶を濁してしまった。
101:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 07:53:31.41 ID:PPg+erii0
個室の居酒屋に入り、Aくんが話を始める。
「Uさんに告白した」
「・・・・・は?」
僕もRくんも結構驚いていたと思う。
「そしたら、Uさんはもう付き合ってる人がいるって言ってた」
Rくんはヘラヘラとしながら「え、だれ?」と聞く。
僕はその時変な汗が止まらなかった。
106:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 07:56:36.59 ID:PPg+erii0
「え、そ、そんなこといってないっていうか、ちょっとよくわからないっていうか」
「お前が付き合ってないっていうから俺は告白したんだよ」
冷静になって考えれば僕が付き合ってないとしたってそれがUさんがフリーと言う事にはならないんじゃないのかとか言おうと思ったけど無駄だと思った。
Rくんが「まあまあ落ち着けよ・・・・・」と言いながら場を収めようとしていたがAくんはやがてイライラしたように帰ってしまった。
112:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 08:00:32.19 ID:PPg+erii0
Uさんがどんな顔でそれを話すのか、考えたくなかったし、そんな顔見たくなかった。
バンドの練習は同じペースでは入っていたけど、Aくんは僕と明らかに距離を置いているし、Rくんはその空気をどうにかしようと立ち回っていたが相当苦労していたみたいだった。
そこからバンドが崩れるまでにそう時間は掛からなかった。
「俺、このバンドやめようと思う」
とAくんが言い出したのは居酒屋の件から1ヶ月程経った日だった。
113:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 08:03:27.65 ID:zdbiUcI10
114: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:15) :2012/11/18(日) 08:03:51.18 ID:6itzU8+70
117:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 08:06:04.09 ID:IK0YjNtU0
建前は音楽性の違いで脱退
121:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 08:07:19.26 ID:AxJLlCUBO
125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 08:09:30.60 ID:PPg+erii0
そこから色々と話し合った。
Rくんはそんなくだらないことでバンドを辞めるだとか、女なんてたくさんいるだろとか言っていたが、
「俺はUさんのことを3年も想い続けてたんだぞ。今更他の女とかそういう話じゃない。ずっと想い続けてた人が他の男、それも身近な男に取られるなんて精神的に耐えられない」
とAくんは話した。
それを聞いたときに、僕はAくんを説得する権利はないと思った。
僕はUさんのことが好きだけどAくんもRくんもバンドもとにかく好きなんだ。でも、それじゃどうにもならないと思った。
127:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 08:12:31.95 ID:PPg+erii0
バンドをやめると言い出すかは別として精神的に耐えられたかはわからない。
僕は何も言えず、Rくんも仕方がないから来週までもう一度考えてくれ、と言ってその日はお開きになった。
翌日僕はそのことをUさんに話してしまった。
本当に最低のミスだったと思う。
136:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 08:19:09.91 ID:PPg+erii0
だが後日事件は起こる。
Aくんから電話で「今すぐうちに来い」と呼び出される。
すぐにAくんの家に向かうとRくんがいた。
UさんがAく●に「バンドを辞めないで欲しい」と言ったらしい。
それを聞いたAくんは僕がUさんにAくんを説得するように頼んだんだと思い込んだ。
Aくんは「Uさんの言うことならあいつも聞くだろう」と僕に思われたと勘違いして気持ちを踏みにじられたと今までで一番怒っていた。
僕は全くそんなことは頼んでいない、と弁解したがAくんは聞く耳を持たず。
なにが起こっているのかわからなかった、人間がたくさん集まった上での気持ちのすれ違いの怖さを思い知らされた。
137:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 08:20:21.41 ID:2/woYA220
138:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 08:20:38.64 ID:ZY/2ENv20
139:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 08:21:21.31 ID:WS1yBLkcP
148:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 08:25:48.09 ID:PPg+erii0
その2週間後Uさんは「私といると僕君に悪いことばっかり起こしちゃうから」と言って別れを切り出した。
僕は別れたくなかった。けれど結局Uさんは精神的にもやつれていき、どちらかというと彼女を苦しめているのが僕だと気付き、彼女と別れた。
結局のところ何年もバンドをやっていても、メンバーとは音楽の話しかしなかったし、何もメンバーのことをしらなかった。
Uさんとは付き合ってはいても、楽しい話題の話しかしたくなかったので、彼女の苦労とか思っていることを聞くことがなかった。
人間関係の難しさを学生時代以上に思い知らされた。結局は感情を暴走させると一発で切れてしまうような人間関係でしかなかった。
160:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 08:32:50.61 ID:PPg+erii0
バンドをやっていたころに培ったコネクションでライブサポートや、レコーディングサポートの仕事を受け小遣い程度のお金を稼いで。
DTMも勉強して作曲をし、同人活動やらに手を出してみたけれど、これはほんとうに自分のやりたかったことだったのかと考えると辛くなった。
バイト生活は未だに脱却できないし、事務的にギターを弾いても楽しくない毎日で27歳の今に至る。
それでもやっぱり、いつかバンドで活躍したいという気持ちが捨てられないのはなんでなんだろうな。
おわりです。3時間も書いてたのか。読んでくれた人はありがとう。
これを書こうと思ったのは昨日部屋を掃除してたらバンドで活動してた時のCDが出てきて色々思い出してしまったからです。
167:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 08:35:30.63 ID:uy2gQJ3Y0
売れっ子作曲家になってください!
170:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 08:37:27.66 ID:k4D45+bR0
180:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 08:41:52.89 ID:PPg+erii0
173:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 08:39:02.59 ID:ztWdvI/z0
それこそ同人なんて今はメジャーでもやってる人が増えてるし
それまでのステップ兼息抜きには丁度良いとは思うなー
もちろん楽だとか簡単って意味では無いけど
178:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 08:41:01.49 ID:IK0YjNtU0
メンヘラ化はこの騒動が原因なのか
186:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 08:43:31.03 ID:azBFb01z0
ギタリストなんて物凄く上手くても
仕事回ってこない奴大勢いるんだから
コネあるうちにどっか頭下げてでも普通に働け
人生全力でぶつかっても夢か女かどっちかしか選べないと相場はきまっとる
188:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 08:44:11.53 ID:D5Hy5dsR0
俺も趣味程度でバンドやってるけどいつか
すごいバンドができたらな
277:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/18(日) 09:52:22.37 ID:PPg+erii0
バンドやってる人たちはマジで大変だろうけど頑張ってくれ。
今日もバイトなのでそろそろ。適当に落としておいて下さい。
引用元:「バンドで売れたい」と思って10年間頑張ってきたけどもうダメだ
同い年でギタリストだけど、
高校でバンドが組めてライブが出来ただけでもマシだよ。
俺なんかメンバー集まらなくて一人で弾き語りしてたわ当時。
今でもかろうじて音楽続けているけど、もうモチベーションの限界。
何だろう、わりと順風満帆だったんじゃね?って気がするんだよな
く●にwwwwwww
しょうもないNGワード設定されてんだな
まだまだ若いじゃないか。まだいけるぞ
バンドで売れたわけではないけど一応音楽で食っていけてるし良いんじゃねーの?って思ってしまった
声優もバンドも漫画家もパイが少なすぎてほんとに10年に1度の才能レベルじゃないとメジャーデビューなんて無理だからな
それを27になるまで気づけないのはやっぱり人として欠落している
>>3
何の伏字なのか不思議だった。
そういうことかw
自分に才能ないってわかってても夢追っちゃいけないのかよ…
音楽は天才だけのものじゃない
売れる奴と売れないやつの違いってなんだろう
※10
運と才能
産業で
>>10
実際マーケティングの上手さだよ・・・
俺の行ってた学校だと軽音部あったけどさ。
揃って練習する時間が1日2h程度しかない上に、かっこばっか、やる気もばらばら、雑談ばっかだったし腕前もばらばらな上に家で練習もまともにしてないのばっかで酷いもんだった。
はっきり言って家に帰ってずっと練習してろよお前らって何度も思った。
3年在籍したけどコピーすらやっとできるかどうかの練度で終わりだった。
軽音やるならごっこ遊びの集まる学校の部はお薦めできない。
斎藤和義もデビューは27歳じゃなかったっけ
だから年齢はあんまり関係ないんじゃないかな
この>>1には頑張ってほしいな
結局、こいつの親父が正しかったのか
良い大学行ってバンドサークルでも入ったほうが成功してただろ
10年前までと違って今は売れたいと思って続けてるやつが売れるなんて無いだろと思う
好きで続けて運がよかったら売れる程度じゃないか今の音楽業界なんて
でもサポートとかの仕事をもらい続けてるとしたら結構成功してる部類じゃないかと思うぞ
箸にも棒にもかからない人もごまんといるわけだからな
これ書いた人見てるかな?
僕も同じ27で本気でバンドで成功したいって思ってるよ。
良かったらメール下さい。
怪しいだろうしこんなのバカかもしれないけど、メールで話したいです。
[email protected]
※13
すべてにおいてそうだろうな
でも本気で頑張れるスキルは一生もんだろうな
よっぽど酷いのかと思ってたけど、またバンド結成でもすればいいんじゃねーのとしか思わないな
今の音楽業界に人生掛ける価値があるとおもってる時点で既に負け組み
おまけにバンドてwwwwwww
趣味でやる分にはこれ以上の趣味は無いと言っても良いだろうけどね
夢を追いかけた男の半生か
普通はできないぜ?
バンドやってる大半の奴は途中で現実に気付いちゃうからな・・・
大きな夢を持ちつつも、定職について趣味で続けてた方が幸せだな
何が幸せかって難しいね
俺も中学で感化されてギター始めて
高校はずっとバンドに打ち込んでたけど自分に才能が無いなんて分かりきってて
今思えばそれを上手い言い訳にして頑張らなかったなぁとは思う
でも楽器は好きだし機材も好きだしで裏方系の専門に行ったけどその道には進まず
さっさと地元に帰って車にハマってたらいくら金があっても足りないから稼ぐことに躍起になって仕事が楽しくなり今に至る
ギターも機材も未だに捨てられずに部屋に飾ってあるけどもう何年もまともに音出してない
昔は高くて買えなかったサドウスキーとかPRSとか今でも欲しいとは思うし
買おうと思えばすぐ買えるぐらいは稼げるようになったけど
他に使いたいことがいっぱい増えた
その時その時でハマるものもコロコロ変えて今でもフラフラしてるけど
これはこれで良かったと思うし
夢を諦めずにずっと続けてきた>>1を羨ましくも思う
音楽しかないと思うなら納得するまでやればいいよ
諦めたり挫折したりしてそこまで続けてられなかったやつなんて山ほどいるんだし
そんなやつらの代表気取ってもいいんじゃない?
※23ちょっとクサいなでも同意見だ、俺は裏方の専門に行ってそのまま就職せず裏方じゃなく表に行きたくてバンドしてたでも結婚して音楽に関係のない職についた、逃げちゃったんだよやっぱり怖いから、でも今でもバンドであの時あーしてればとか意味のない事考えるよ何かもの凄く複雑なんだよな
別にプロになって活躍しなければならない訳じゃない。
普通に平日は仕事して、日曜日はジャズハウスで演奏しているベーシストの知人も居るしな。
こいつは成功してる部類だろう
ただ、人間関係がこじれた程度でモチベーションが地に落ちるのはいただけない
職業訓練いこうぜ。
働きながら、地道に音楽続けたらいいじゃん。
夢を追う気持ちが折れたからって、人生まで諦めるこたぁない。
音楽業界や企業が腐りきってるのも
志望者たちにとって気の毒なことではある
こんな時代じゃ広告代理店がつかない限りデビューして食っていくのは難しいかなあ
ボカロなんかの同人もセミプロが山のようにいてトップに立つのが難しい状態だし
けっこうかっこいいじゃん
コミュ障高校生がライブハウスでギター弾くなんて
「バンドマンなんて華やかな世界に憧れて遊んでる勘違いくん」みたいな歪んだ目で見られるけど
実際ロックなんてルーザ-のもんだからさ
米23
今となっちゃそれもけっこう望むべくもない人生かもしれないな。
歳タメだし洋楽好きだし自分と重なる所があるので共感しました
文章が謙虚で見やすかったしがんばってほしいと思った
たかが歌手や楽器弾きがウン千万ももらってたような今までがそもそもいかれてる
朝鮮avexに行って今じゃ都落ちのプロの方々が試行錯誤してる昨今。
音楽やれるだけでも幸せと言う謎の状況。
俺はプロに成りたかったんじゃなくて、独学で自分が欲しい曲をいつでも作れる様に成りたかっただけと言う事に気がついた・・・一応、声は掛けて貰ったりしてる。
なんだかんだでソフトの発展と共にミックスからマスタリングまで出来る様になったが・・・新しい遊び場を探してる。