1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 05:15:20.79 ID:PPg+erii0

立ったら書く




2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 05:15:51.02 ID:qvVQCLY20

はよ




12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 05:21:26.70 ID:PPg+erii0

中学生の頃に父親の洋楽趣味に影響されてギターを始めた。
当時お小遣いなんて月1000円程しか貰っていなかったのでギターを買うために貯金した。
僕はあまりコミュニケーションを取るのが上手ではなかったので友達も少なかったし遊びに行ってお金を使うなんてことも多くなく、お年玉等含めて半年ほどでそのお金は溜まった。
始めるからにはそこそこのギターを買いたいと思って楽器屋で「初めて買うんですが、長く続けられるようなギターが欲しいです」と言った。今思うとうまく言えてなかったかもしれない。
店員さんのおすすめを聴きながら慎重にギターを選んだ。




13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 05:22:05.37 ID:J2XtuwYq0

ほう




18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 05:29:13.58 ID:PPg+erii0

僕が買ったギターはFenderという有名ギターメーカーの廉価ブランドSquierのストラトキャスターというギターだった。
店員に安いアンプ、チューナー、シールド、ピック等の初心者セットを付けてもらってその時は「最近の楽器屋は太っ腹なんだなあ」とか思っていた。
ギターとを買ったその日はすぐに家に帰ってギターをソフトケースから出して眺めて一緒に買った教則本を一晩読んだ。
学校に行っても休み時間に教則本を読んでふむふむ言ってみたりしてた。
リア充だったら「えー○○君ギター始めんの~~~?」みたいな話題で盛り上がったのかもしれないが、学校での空気と溶けこむスキルで右に出るものはいないだろう僕はひとりひたすらに勉強と練習を繰り返した。
今思うと「あいつぼっちのくせにギター始めようとしてんぜプププ」くらい思われていたんじゃないかと死にたくなる。




20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 05:31:32.06 ID:jlyiSRXr0

>>18
良いよねスクワイア




22以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 05:33:51.59 ID:PPg+erii0

中学を卒業し高校に入学した。
公立の高校に落ちた。勉強は出来る方だったが、どうも面接で緊張して自分でも何を言っているのかわからない状況になっていたことだけは覚えている。
当然高校でもクラスに馴染めず、ぼっちになった。
高校は進学校でとにかく勉強、勉強という感じだった。
部活動もあったにはあったが1日1時間程度しか活動できず、軽音楽部なんてものはなかった。
ギターを毎日練習し続け夏休みに入り、僕は初めてライブハウスに行ってみようと思った。




24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 05:35:54.47 ID:h94Iort90

軽おんぶのある高校いけよ…




25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 05:36:31.99 ID:6F6Vi0g10

コミュ障が社交性・コネ最重要の音楽業界なんて無理に決まってる




27以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 05:39:18.11 ID:PPg+erii0

近所に小さなライブハウスがあって、別に何が見たいというわけでもなくスケジュールを確認した。
その日は確かロックバンドのブッキングイベントだったと思う。
ライブハウスに入ったあの日。なんというか、感動していたんだと思う。
音楽を通じて人とコミュニケーションをとって、自分の思いを音に乗せて伝えようとする姿に憧れた。
僕はバンドをしてみたいと初めて思った。




29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 05:44:47.18 ID:PPg+erii0

ライブハウスの隅で1人でコーラを飲んでいるとさっきまで演奏していたバンドが楽屋から出てきて、その人たちの周りにはファンであろう人達が集まっていた。
かっこよかったですとか来てよかったですとか、正直すごく羨ましかった。嫉妬した。
その分、僕があの場に立って女の子に囲まれる妄想も大きかった。
その時女の子に声をかけられた。
「このあと、中で打ち上げやるんですけどよかったら来ませんか?」
女の子に声をかけられるなんて滅多になかったので多分「あ、あ、はい・・・・・」と返事してたんだと思う。
なんで僕に声をかけてくれたんだろう。もしかして僕のこと気になってるのかな・・・・・?なんて思った。気持ち悪すぎる。




30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 05:51:54.91 ID:PPg+erii0

当然僕にだけ声をかけてくれたわけじゃなかった。
その子はライブハウスのスタッフで、中にいる人全員に声をかけていた。
打ち上げ自体はすごく楽しかった。大きなテーブルを囲んで笑い合い料理を食べお酒を飲んでいた。
僕はお酒は飲まなかったけど、お酒を飲んでいるんじゃないかっていうくらい頭から何かが沸き上がっていた。
学校での僕の姿なんて知ってる人がいるはずもなく、みんな普通に話しかけてくれたっていう事実が僕を大きく揺さぶった。
さっき声をかけてくれたスタッフ、Uさんとも話した。
「今日はどのバンドを見に来たの?」
「たまたま、ライブハウスに行ってみようと思って・・・・・」
「そうなんだ!楽しかった?」
「はい・・・・・僕もバンドやってみたいなって思いました」
うまく話せていたかは別としてギターを弾いていることや、好きな音楽、いろんなことを話した。
Uさんは20歳の大学生だった。僕は高校生だと思っていた。Uさんもちょっと気にしているみたいだった。




31以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 05:51:58.09 ID:1TY21ZOy0

かわいそう




34以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 05:58:03.62 ID:PPg+erii0

僕がUさんに興味を持っているのは明らかだった。ここでライブをしてUさんにライブを見てもらいたい、そう思った。
その日、Uさんに僕の連絡先を教えた。「また来てね」って行ってくれたのがすごく嬉しかった。
翌日、僕はライブハウスの上のスタジオでメンバー募集のチラシをかき集めた。
なるべく歳が離れていない、趣味が合う、怖そうな人がいないという点に注意して探したが、あまり見つからない。
僕の趣味はハードロックだった。その当時の若い子はハードロックなんて聴かなかった。今もどうかは知らない。
2週間程たった日、Uさんからメールが来た。
「来週ライブハウス主催のセッション会があるんだけど来てみない?僕君のギター聴いてみたいな(顔文字)」
すぐに行きますと返事をした。




36以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 06:00:18.20 ID:s1Ruyddv0

なぜこうも薄ら寒い




38以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 06:02:48.47 ID:kVs6sekx0

終わらない歌を歌おう




39以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 06:03:31.56 ID:PPg+erii0

初参加ということで課題曲を1曲やってもらうという話だった。
その日やる曲を教えてもらい。CDショップですぐにその曲の入ってるCDを買った。
その時にやった曲はNOFXというバンドのLinoleumという曲だった。
生まれてはじめてパンクを聴いた。衝撃だった。
特にうまいとも感じないボーカル、雑然とかき鳴らされるギターとベース、めちゃくちゃに速いドラム。
2分少々の曲になんとも言えない衝動を感じ取った。




41以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 06:08:48.49 ID:PPg+erii0

当日まで毎日そのCDのを聴いてその曲を弾いた。
曲自体は簡単だったので弾きこなすまでに時間は掛からなかった。
セッション会当日、緊張しながらライブハウスの扉を開いた。
その時一緒に演奏したのはボーカルとベースがAくん、リズムギターはGくん、ドラムはRくん、リードギターが僕だった。
Aくんは高校生で髪を金髪に染めていて正直苦手なタイプだった。
Gくんはあんまり覚えてない。
Rくんはいかにもって感じのチャラチャラした大学生だった。
他の人の演奏を見たときはそれはそれは緊張した。
やっぱりみんな慣れてるんだ。こんな人達の前で演奏して怒られないんだろうか・・・・・。




43以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 06:11:57.63 ID:PPg+erii0

ついに自分の番、アンプにギターを繋ぎギターを弾き始めてからは無心だった。
気付いたら終わっていたくらい。
終わった後にAく●に話しかけられた。
「お前結構うまいんだな!なんか自信無さ気だったから大丈夫かよって思ってたけど意外だったわ~」
「そ、そうかな・・・・・あり、あ、ありがとう・・・・・」
金髪の人ってなんであんなに威圧感あるんだろう。金玉でも握られてるような気分になった。




46以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 06:18:21.43 ID:PPg+erii0

その日の打ち上げでAく●にバンドに誘われた。
怖かったけど、とにかく嬉しかった。僕はやりたいと答えた。
ただその日のことをこんなにも覚えているのはその後にあった出来事のせいだと思う。
Uさんが演奏の様子を録画していたらしくDVDをくれた。
2003年当時うちにはDVDプレーヤーなんてなかったのでPS2を友達から借りて見た。
愕然とした。
僕は立って弾いてるだけだった。
他のメンバーは音楽に合わせて体を動かしたりしているのに僕だけが明らかに浮いていた。
ステージパフォーマンスというものを初めて考えさせられた。




50以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 06:23:11.64 ID:PPg+erii0

夏休みが明けた9月、バンドの顔合わせがあった。
その時のメンバーはベースボーカルAくん、ドラムRくん、ギターが僕の3ピース構成だった。
ジャンルは所謂メロコア、その頃はHi-STANDARDの後継バンドがたくさん出てくる時代で割りと勢いのあるジャンルだった。
その頃僕はバンドを続けていれば自然にプロにもなって、働かなくても生活できるんじゃないか?ラッキーとか考えてた。




55以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 06:30:55.64 ID:PPg+erii0

実際初めて見ると、Aくんが作った曲の原型を僕達が形にしていくというのは相当難しく、練習時間も増えていく。
Aくんの家で夜中にひたすら曲を練って、翌日スタジオであわせてみるとイメージと違ったり、辛かったけどやっぱり楽しかった。
1年程経った。バイトをしてお金を貯めてたくさんライブもしたし、どんどん自分のイメージが膨らんでいって、もっともっと色々なところでライブをしたいと思った。
しかし高校2年の夏事件は起こる。




57以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 06:35:01.29 ID:PPg+erii0

僕は留年直前まで成績が落ちていた。
2年の夏の時点で留年直前、親と学校で三者面談をした。
とにかく怒られた、夏休み中毎日学校に来て講習を受けろと言われた。
そのことをメンバーに相談しようと決心したスタジオ練習後。
僕達が拠点としているライブハウス、仮にライブハウスKとする。
ライブハウスKでお世話になっている先輩のバンドがかなり大きなライブハウスでライブをするらしい。
そのライブのオープニングアクト(要するに前座)をやってほしいという話が入ってきた。
ライブの日程が9月の頭、あと2ヶ月で音源を作ってライブの日に配ろうという話だった。




58以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 06:38:53.11 ID:PPg+erii0

AくんとRくんのキラキラした目を見ていたら、留年直前で夏休みは出れないなんて言い出せなかった。
その日は、「まだ予定がわからないから追々話すよ」なんて行ってはいたけど、僕は悩みに悩んだ。
夏休み練習できないとなると、CDは愚か、ライブすらうまく出来るかどうかあやしい。
本当なら悩むまでもなく学校のほうが大事である。
AくんもRくんもその話をすれば、じゃあ仕方ないな。ライブは断ろう。といってくれると思った。
でもそのことでふたりは、表に出さずとも相当がっかりすると思った。
せっかく僕を拾ってくれたふたりをがっかりさせるなんて絶対にできない、と思った。




61以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 06:43:53.90 ID:PPg+erii0

まず僕は親に相談した。
バンドを頑張っていて、夏休みはその活動で講習には出れない。
その高校の所謂留年講習と言うものは留年の可能性がある生徒を集めて、ギリギリ留年を免除しようというもので
出なければ留年は確定といってもいい、という話だった。
だからもし留年してしまったとしても、許して欲しい。と話した。
母親は無言でその話を聞いていて、話し終わると「お父さんと相談するから」といった。
僕は話が通じることを願ってその日は眠りについた。




62以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 06:47:11.72 ID:di7cgVTD0

気になる




64以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 06:49:48.88 ID:PPg+erii0

翌日起きると父親から話があると呼び出された。
怒られた、今までこんなに怒られたことはなかったというくらい怒られた。
父親は音楽が好きだから、許してくれると思っていた。甘かった。
僕は黙って聞いていたが、
「そんなにギターが学業の邪魔をするならギターなんて捨ててやる。持って来い」
の一言で僕は今までにないくらい怒った。
父親と初めて殴り合いの喧嘩をした。が貧弱な僕は勝てなかった。
父親は僕のギターを折って捨てた。僕は泣いた。一晩中泣いた。
ギターを捨てられたことより、僕がバンドと出会ってからの変化を父親が認めてくれなかったのが悲しかった。




65以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 06:54:13.48 ID:PPg+erii0

翌日僕は生まれて初めて学校をサボって家出した。
まっさきにRく●に電話した。Rくんは大学のために地元からこっちに出てきて彼女と暮らしていた。
結局のところ僕はただの高校生で誰かに頼らなくては生活できないということが悲しかった。
Rくんは理由も聞かずに泊めてくれた。その優しさもまた痛かった。




66以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 06:58:41.80 ID:PPg+erii0

Rくんの彼女は時々僕を邪魔そうにみてくるので、そういう時はちょっと散歩に行ってくるなんて言って3時間くらい公園で暇をつぶしたりした。
1週間後僕は家に帰った。
父親はそのうち戻ってくるだろうという態度だったのか驚かなかった。
母親はひたすらに今までどうしていたのとか、なんでこんなことしたのとか聞いてきた。
その日の晩、僕はバンドのために学校をやめること、高校卒業の歳までは家で貯金をして家をでることを伝えた。
母親は泣いていた。父親は「勝手にしろ。ただ、いざとなったら親に頼ろうなんてことを考えてるならやめておけ」と言ったが、何故かその時僕は自信満々だった。
バンドをやっていれば、生活するお金なんていくらでも手に入る。そう思っていた。




67以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 06:59:50.29 ID:Afvd0Cxj0

読んでるよ




70以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 07:02:21.66 ID:PPg+erii0

高校を辞めたことはバンドのふたりには言わなかった。
学校はいいの?とか聞かれても、まあ大丈夫だよとか誤魔化したりして。
9月のライブはそこそこに成功して無料配布CDも200枚用意したが、すべて配りきった。
配った時に女の子に「かっこよかったです!」っていわれるのはいい気分になった。
Uさんも「たくさん聞くね!」って言ってくれて何もかもうまく行っているような気分になった。




71以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 07:08:22.98 ID:PPg+erii0

それから2年ほど経った夏。
Aくんは僕の1つ年上だったので高校を卒業し就職した。20歳。
Rくんの大学はそこそこに有名で就職活動したくねえ~とかいいつつも就職活動しながらバンドを続けてくれた。22歳。
僕は家を出てコンビニで夜勤のアルバイトをしながらバンドを続けていた。19歳。
バンドはそこそこに有名になっていた。地元のライブハウスでは知らない人はいないくらいだった。
ただ自分のイメージしていたほど有名になっているわけでもなく、なんとなくやりきれない気持ちもあった。




72以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 07:13:39.73 ID:PPg+erii0

バンドのコンテストに出ようという話になった。
賞を取ればメジャーデビューにも繋がるという話で、かなりテンションが上がっていた。
結果そのコンテストでは審査員特別賞を取った。
その年にアルバムのレコーディングに入った。
今まで何度かデモCDを作ったことはあったがプレスしたCDを作るというのはやったことがなかったので完成した時は感動で泣きそうになった。
結局CDは全国に流通し、500枚だかそのくらい売れていたと思う。




73以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 07:19:38.91 ID:PPg+erii0

ただ500枚CDを売ったところで生活は楽にはならなかった。
レコ発ツアーで全国を回っても、お金はかかるし、ギターを捨てられたあたりから機材集めにはまってしまって、ギターやらエフェクターやらを買ってお金はなくなる。
もっと楽々と生活できるようにならないとダメだと、焦っていた。
翌年、成人式で中学の同窓会があった。一応呼ばれてはいたけど、僕は行かなかった。
学校の奴らなんて嫌いだと思っていたし、僕を道端の石ころ程度にしか見ていなかったあいつらを見返してやるという気持ちも強くなった。
バンドはゆっくりと活動していくが、僕は焦りっぱなしだった。




75以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 07:22:10.69 ID:zdbiUcI10

ふむふむふむ




76以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 07:23:19.46 ID:PPg+erii0

メンバーふたりは仕事で活動出来る時間が限られていたけど、いつしか僕はその時間もフルに使って活動して行かないとダメだと思っていた。
そのことを提案すると、ふたりは少し驚いたような顔をしていた。
「ちょっと焦り過ぎじゃないか?」
「そんなことはないよ、むしろこれでも遅いくらいだと思う」
「俺達もバンドは好きだけど、でもそれだけにすべての時間を使えるわけじゃないんだよ」
僕はその時に気付いた。
ああ、ふたりはバンドを趣味レベルにしか見ていなかったんだ。プロになりたいだとか、真剣に考えていたのは僕だけだったんだ。




79以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 07:28:03.17 ID:zdbiUcI10

でも本気でやれんのすげえよ
割とマジですげえよ尊敬するよ




80以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 07:28:07.65 ID:PPg+erii0

Uさんはライブハウスのアルバイトを辞めて就職してからも僕達のライブを見に来てくれていて、
毎回良いと言ってくれたわけではなかったがそのたびに思ったことを真剣に僕に教えてくれていた。
正直Uさんのことがその時でも好きだった。
むしろUさんに見てもらいたいという気持ちでバンドを続けてきた僕はUさんにバンドのこういう面を見せるのを躊躇ってはいたがもう僕の話を聴いてくれるのは彼女だけだと思った。
Uさんにそのことをメールで伝えると、詳しい話をききたいから週末に飲みに行こうと言われた。




83以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 07:34:19.80 ID:PPg+erii0

ふたりで居酒屋に入り、僕はバンドに対する思いとか、他のメンバーに対する思いとか、恥ずかしいことまでべらべらしゃべっていたと思う。
Uさんは真剣に話を聞いてくれて、ひと通り話を聞いたあとに
「難しいけど、いろんなテンポとか思いとかそういうのを集めてバンドが出来上がるんだと思う。1人の気持ちで周りがくっついて動くだけなんて、バンドとはいえないんじゃないかな」
といってくれた。
悲しいけど事実そういうことだったんだと思う。結局、僕が夢見ていた栄光の道は現実には存在しないということがはっきりとわかった。
このバンドを続けていく以上は僕とふたりのペースは明らかにバラバラで、そのテンポをうまくみんなであわせていくしかないんだ。
バンドをやめて別のバンドを組むというのは僕には考えられなかった。とにかく僕にはこのバンドしかなかった。




85以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 07:38:03.54 ID:PPg+erii0

その日僕はベロンベロンに酔いつぶれて終電を逃した。
Uさんの「家泊まってく?」という問にうつろな意識で首を縦に振ったが、冷静になって考えてみると
「一人暮らしの社会人女性の家に泊まりに行くっていうのは・・・・・つまりそういうことだよな・・・・・・」
と僕の童貞脳はビンビンに反応していた。
伊達にこの歳まで童貞を守ってこなかった。むしろ、Uさんのために僕の童貞はある。とか考えていた。
アホだ。




86以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 07:41:23.29 ID:PPg+erii0

家についたらいい匂いだし、Uさんの生活してるスペースってだけで相当に興奮して酔いも冷めた。
正直今でもあの時の感覚とか匂いとか思い出してしまうくらい。
ベッドにふたりで腰掛けて軽くウィスキーとか飲みながらもう少し話をしていた。
僕はこの人が好きなんだって再確認した。
今日、この人に思いを伝えようと思った。相変わらずせっかちだった。




87以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 07:41:39.10 ID:46CwE/3PO

こういうのって始める理由は簡単に見つかるけど辞める理由はなかなか見つからないんだよな




92以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 07:44:32.34 ID:PPg+erii0

「真剣な話してもいいですか?」
「ん、なに?」
「す、好きです・・・・・・」
Uさんは驚いたような、困ったような、なんか色々考えてたような気もするけど最終的に
「私も好きだよ」
って言ってくれて、僕は彼女と付き合うようになった。
それから、僕は今まで以上にバンドを頑張ろうと思った。焦ることではなく周りに歩調を合わせて。




93以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 07:45:21.00 ID:zdbiUcI10

えんだああああああああああああああああ




95以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 07:46:50.62 ID:uy2gQJ3Y0

付き合ってんじゃねえよハゲ




99以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 07:49:29.41 ID:PPg+erii0

それから2ヶ月ほど、僕はたまにUさんの家に行くようになっていた。
バンドのメンバーには付き合っていることを言わなかった。なんとなく自分が腑抜けているように見えるのではないかと思ったからだ。
ある日の練習後Rくんから「今日これから軽く飲まない?」と提案された。
「いや、これからちょっと用事あってさ」
「なに?女の子?お前もついに?」
「あー、まあUさんのとこに用があって」
と言うとAく●に
「え、お前Uさんと付き合ってんの?」
と聞かれた。
僕は、「いや、まあ、そういうんじゃないよ・・・・・」とお茶を濁してしまった。




101以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 07:53:31.41 ID:PPg+erii0

その2週間ほどあと、Aく●に呼び出されて僕とRくんとで集まった。
個室の居酒屋に入り、Aくんが話を始める。
「Uさんに告白した」
「・・・・・は?」
僕もRくんも結構驚いていたと思う。
「そしたら、Uさんはもう付き合ってる人がいるって言ってた」
Rくんはヘラヘラとしながら「え、だれ?」と聞く。
僕はその時変な汗が止まらなかった。




106以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 07:56:36.59 ID:PPg+erii0

「おまえ、付き合ってないっていってたよな」
「え、そ、そんなこといってないっていうか、ちょっとよくわからないっていうか」
「お前が付き合ってないっていうから俺は告白したんだよ」
冷静になって考えれば僕が付き合ってないとしたってそれがUさんがフリーと言う事にはならないんじゃないのかとか言おうと思ったけど無駄だと思った。
Rくんが「まあまあ落ち着けよ・・・・・」と言いながら場を収めようとしていたがAくんはやがてイライラしたように帰ってしまった。




112以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 08:00:32.19 ID:PPg+erii0

Uさんにそのことを聞きたかったけど、僕は聞けなかった。
Uさんがどんな顔でそれを話すのか、考えたくなかったし、そんな顔見たくなかった。
バンドの練習は同じペースでは入っていたけど、Aくんは僕と明らかに距離を置いているし、Rくんはその空気をどうにかしようと立ち回っていたが相当苦労していたみたいだった。
そこからバンドが崩れるまでにそう時間は掛からなかった。
「俺、このバンドやめようと思う」
とAくんが言い出したのは居酒屋の件から1ヶ月程経った日だった。




113以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 08:03:27.65 ID:zdbiUcI10

Aくん器小さすぎワロタ




114 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:15) 2012/11/18(日) 08:03:51.18 ID:6itzU8+70

ここまで読んできたがリア充すぎてうらやましくもある




117以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 08:06:04.09 ID:IK0YjNtU0

人間関係でバンド崩壊はあるあるだよなぁ
建前は音楽性の違いで脱退




121以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 08:07:19.26 ID:AxJLlCUBO

マガジンで連載してたデスペラードって面白かったよね




124以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 08:08:49.49 ID:vuNoqdi50

>>121
懐かしすぎ吹いたwww




125以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 08:09:30.60 ID:PPg+erii0

「正直居心地悪いし、モチベーションもあがらない。ここまでじゃないのか」
そこから色々と話し合った。
Rくんはそんなくだらないことでバンドを辞めるだとか、女なんてたくさんいるだろとか言っていたが、
「俺はUさんのことを3年も想い続けてたんだぞ。今更他の女とかそういう話じゃない。ずっと想い続けてた人が他の男、それも身近な男に取られるなんて精神的に耐えられない」
とAくんは話した。
それを聞いたときに、僕はAくんを説得する権利はないと思った。
僕はUさんのことが好きだけどAくんもRくんもバンドもとにかく好きなんだ。でも、それじゃどうにもならないと思った。




127以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 08:12:31.95 ID:PPg+erii0

Aくんの気持ちもわかってしまうのだ。もしこれでUさんが実はAくんと付き合ってました。なんて言われた日には
バンドをやめると言い出すかは別として精神的に耐えられたかはわからない。
僕は何も言えず、Rくんも仕方がないから来週までもう一度考えてくれ、と言ってその日はお開きになった。
翌日僕はそのことをUさんに話してしまった。
本当に最低のミスだったと思う。




136以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 08:19:09.91 ID:PPg+erii0

Uさんはそれを聞いて、今までに見たことがないくらい悲しそうな顔をして何も言わなかった。
だが後日事件は起こる。
Aくんから電話で「今すぐうちに来い」と呼び出される。
すぐにAくんの家に向かうとRくんがいた。
UさんがAく●に「バンドを辞めないで欲しい」と言ったらしい。
それを聞いたAくんは僕がUさんにAくんを説得するように頼んだんだと思い込んだ。
Aくんは「Uさんの言うことならあいつも聞くだろう」と僕に思われたと勘違いして気持ちを踏みにじられたと今までで一番怒っていた。
僕は全くそんなことは頼んでいない、と弁解したがAくんは聞く耳を持たず。
なにが起こっているのかわからなかった、人間がたくさん集まった上での気持ちのすれ違いの怖さを思い知らされた。




137以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 08:20:21.41 ID:2/woYA220

あーあ




138以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 08:20:38.64 ID:ZY/2ENv20

A君暴走してんなー




139以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 08:21:21.31 ID:WS1yBLkcP

めんどくせー




148以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 08:25:48.09 ID:PPg+erii0

結局Aくんはバンドを辞めることを撤回せず、新しいベースボーカルを探すという考えには至れなかったので残っていたライブを消化しバンドは解散した。
その2週間後Uさんは「私といると僕君に悪いことばっかり起こしちゃうから」と言って別れを切り出した。
僕は別れたくなかった。けれど結局Uさんは精神的にもやつれていき、どちらかというと彼女を苦しめているのが僕だと気付き、彼女と別れた。
結局のところ何年もバンドをやっていても、メンバーとは音楽の話しかしなかったし、何もメンバーのことをしらなかった。
Uさんとは付き合ってはいても、楽しい話題の話しかしたくなかったので、彼女の苦労とか思っていることを聞くことがなかった。
人間関係の難しさを学生時代以上に思い知らされた。結局は感情を暴走させると一発で切れてしまうような人間関係でしかなかった。




160以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 08:32:50.61 ID:PPg+erii0

それから数年間僕はバンドを組みたくなかった。
バンドをやっていたころに培ったコネクションでライブサポートや、レコーディングサポートの仕事を受け小遣い程度のお金を稼いで。
DTMも勉強して作曲をし、同人活動やらに手を出してみたけれど、これはほんとうに自分のやりたかったことだったのかと考えると辛くなった。
バイト生活は未だに脱却できないし、事務的にギターを弾いても楽しくない毎日で27歳の今に至る。

それでもやっぱり、いつかバンドで活躍したいという気持ちが捨てられないのはなんでなんだろうな。

おわりです。3時間も書いてたのか。読んでくれた人はありがとう。
これを書こうと思ったのは昨日部屋を掃除してたらバンドで活動してた時のCDが出てきて色々思い出してしまったからです。




167以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 08:35:30.63 ID:uy2gQJ3Y0

乙でした

売れっ子作曲家になってください!




170以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 08:37:27.66 ID:k4D45+bR0

解散したのは何年前なんだ?




180以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 08:41:52.89 ID:PPg+erii0

>>170
ゴタゴタしたのが6年前
ライブ消化しきったのが5年前かな
正確に覚えてるわけじゃないから結構時系列ごちゃごちゃになってるとこもあるかも




173以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 08:39:02.59 ID:ztWdvI/z0



それこそ同人なんて今はメジャーでもやってる人が増えてるし
それまでのステップ兼息抜きには丁度良いとは思うなー
もちろん楽だとか簡単って意味では無いけど




178以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 08:41:01.49 ID:IK0YjNtU0

みんな音楽は続けてるのな
メンヘラ化はこの騒動が原因なのか




186以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 08:43:31.03 ID:azBFb01z0

恵まれてる方だな
ギタリストなんて物凄く上手くても
仕事回ってこない奴大勢いるんだから
コネあるうちにどっか頭下げてでも普通に働け
人生全力でぶつかっても夢か女かどっちかしか選べないと相場はきまっとる




188以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 08:44:11.53 ID:D5Hy5dsR0

ためになったわ
俺も趣味程度でバンドやってるけどいつか
すごいバンドができたらな






277以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします2012/11/18(日) 09:52:22.37 ID:PPg+erii0

まあそんなこんなで見てくれた人たちはありがとう。
バンドやってる人たちはマジで大変だろうけど頑張ってくれ。
今日もバイトなのでそろそろ。適当に落としておいて下さい。




引用元:「バンドで売れたい」と思って10年間頑張ってきたけどもうダメだ
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