引用元:【閲覧注意】俺の人生の話をしようと思う
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 00:02:52.81 ID:VeSzCuUS0
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 00:05:39.17 ID:VeSzCuUS0
親父が転勤で横浜から島根に引っ越したのがまずかった
島根の連中は性魂が腐っていた
学校も松江城のすぐ近くの学校だったが、指導方法が横浜の学校とは違いすぎていた
すげースパルタ教育で、やたらと教師が郷土愛とか竹島とか口にする
俺には合わなかった
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 00:07:27.13 ID:VeSzCuUS0
小学6年はほとんど学校に行ってないし、中学も1年の時はずっと家にいた
中2になった時に、親父がまた引っ越すことになって俺は大阪に行く事になった
33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 00:09:06.73 ID:VeSzCuUS0
都会モンとか言われて苛められる事もなく、自由な感じで制服も無くて助かった
島根に長年いたせいで、娯楽とか本当になかったんだが別世界だった
で、中学の残りの期間はちゃんと通って卒業を迎えたんだ
39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 00:11:09.62 ID:VeSzCuUS0
進学校に入ったんだが勉強についていけず、クラスのいじめっ子グループに標的にされて、
手酷いいじめを受けた。女子の前でズボンを下ろされたり、ホースで水をかけられたり、
鞄をずたずたにされたりしたが俺は何とか耐えた、そして高三を迎えた
48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 00:13:54.11 ID:VeSzCuUS0
当時やってたカードゲーム繋がりで別のクラスだったが、何人か仲の良い奴らがいた
ところがある日、俺が廊下を歩いていると曲がり角の向こうから友達の声が聞こえた
「○○←俺の事、あいつキモいよなあ」
「クラスでも苛められてるんだろ? 一応友達やってやってるけど、あいつだけはないわw」
俺は目の前が真っ暗になった
全てがどうでも良くなり、次の日から高校には行かなくなった
自分の部屋から出る事も無くなった
54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 00:16:40.22 ID:VeSzCuUS0
当時βテストをしていたラグナロクオンライン(RO)というMMORPGにハマり、食事の時以外はずっとROをしていた
半年くらいが過ぎて秋になるころ、俺は出席日数の関係で学校を退学になる事になった
親は泣いていたが、俺はもう何も感じずにROを延々とやっていた
レアアイテムのカードを手に入れて武器を強化し、モンスターに与えるダメージを上昇させて、
より少ない攻撃回数で敵を倒す事が俺の人生のすべてになっていた
61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 00:20:12.56 ID:VeSzCuUS0
俺はただ「うぜえ」としか思わなかった。ひたすらROをやり続け、気付くとサーバーの中でもかなり大きなギルドに入っていた
当時はまだ対人戦などが実装されておらず、ひたすらチャットと狩りしかやることのないゲームだったが、
俺は非常に満足だった。ネットの世界は居心地がよく、自分を傷つける現実はそこには存在しなかった。
69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 00:26:31.29 ID:VeSzCuUS0
ROにも次第に飽きてきたので、俺はリネージュ2という新しいMMOを始める事にした
キャラはパンチラが見たくて女エルフにし、弓を選んで進める事にした
今となってはショボいグラフィックだが、親が自分のために貯金してくれていた郵貯の口座から
30万ほど抜いて組んだPCで、今までのROとは次元の違う美しい世界に俺は感動した
そのままレベルも上がってきたころ、俺は狩場で二人組の連中に声を掛けられた
「一緒に狩りしねえ?」
ソロに飽きていたのでパーティ申請を許可すると、俺たちは狩り始めた
狩りながら雑談をしていると、そいつらはリネージュという別のゲームから移ってきた事が分かった
ROプレイヤーとは違い、ZELとかDAIとか訳の分からない略語を使って喋りまくる
話の内容は半分も理解できなかったが、こいつらは「勝つ」ことを前提にプレイしていて、
今まで俺のやっていたROにはいない人種だと分かった
72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 00:31:30.61 ID:VeSzCuUS0
一緒に狩りをした連中はクランというプレイヤーの組織を立ち上げ、スタートダッシュに成功してサーバーでも大手の勢力になった
レべリングのため、試行錯誤しながら狩りを効率化し、クラン内での誰もが高効率な狩り方ができるように、手順を決めて一般化していく
今までやっていたROにはない概念だった。クラン内ではひたすら「改善」という言葉が飛び交い、「勝つ」ためのやり方を考える風土だった
楽しかった。今まで自分は、MMOの楽しみを10分の1も理解していなかったのだと思った
80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 00:37:05.26 ID:VeSzCuUS0
俺にとってはもうリネージュ2(以下リネ2)が自分の人生のようなものだった。「本当の人生、始まる」とかいう
キャッチコピーが当時の2chではさんざんネタにされていたか、俺にとってはその通りだったと思う
最初は怪しげな革の服とスカートを履いていた俺のエルフは、白銀の鎧に豪華な弓を携えるようになっていた
プレイヤーの「狩り方」も分かってきたので、集団で敵対クランをPKし、時には単独でプレイヤー狩りをするようにもなった
修正が入り、俺の弓はキャラとしては弱くなってしまったので、魔法使いのエルフを新しく作った
弟はネトゲにはまっていた俺に呆れながらもまかまか偏差値の高い大学に入り、たまに母親が誰もいない
深夜のキッチンで泣いている事は知っていたが、俺にはもう現実世界はどうでもよかった
83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 00:44:10.37 ID:VeSzCuUS0
俺のキャラクターは希少な装備に身を固め、したらばの晒しスレの常連になった
現実の俺は20歳になろうとしていた。成人式の日にも家の外には出ず、ひたすらリネ2をやっていた
その時の俺の人生計画としては、30歳になったら自殺しようと思っていた。また他人に苛められるリアルの人生で苦労するよりも、
楽しいネットの世界で時間を過ごして、飽きたら自殺でも何でもすればいい。本気でそう思っていた
最近2chにできたというVIP板に行ったのもその頃だった
凸と呼ばれる痛い個人サイトへの攻撃や、気に食わない企業への電話攻撃に参加した
これも非常に楽しかった。特に堂々といじめを自分のサイトに書いていた高校生をフルボッコにして、
そいつが顔を真っ赤にしながらサイト閉鎖した時は最高に胸がすかっとした
84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 00:54:04.69 ID:VeSzCuUS0
21歳になったころ、母親がニート・引きこもりのためのNPO団体に行くように執拗に勧めてくるようになった
行って話をしてくるだけでいいから、と言われたので仕方なく何度か行ったが、ネトゲの時間を奪われるのが非常につらかった
何回か行った後で、親に「もう一人で行くから」と嘘をつき、貰った昼食代でネカフェに行ってリネ2をプレイした
味をしめて数回それを繰り返していたある日、いつものようにネカフェから出て家に帰ると、母親が玄関に仁王立ちになっていた
泣いていたらしく目は真っ赤だった。俺の姿を見て、子供のように喚きながら俺の服を掴んできた
「あんた、何嘘ばっかりついてんの!!」「ちゃんと行くって言ったんだから行きなさい!!」「この先どうするつもりなの!!」
俺は母親のそんな姿を見た事はなかったし、わんわん泣いている姿を見て、なぜか非常に恐怖を覚えた
そのまま家出をした。銀行のキャッシュカードは持っていたので、しばらく暮らせると思った
87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 00:59:27.24 ID:VeSzCuUS0
仕方なく家に帰ると、母親は何も言わずに優しく迎えてくれたが、俺はどこか釈然としなかった
あれだけ楽しかったリネ2も、全く気分が乗らずにゲームにログインするだけの日々が続いた
良く周りの発言を見ていると、みんなゲームの話しかしていない。俺のように寝ている時以外はずっとログインして、
狩りやPKをしている奴が何人もいる。最初のころ、みんなを統率して試行錯誤し、「改善」や「標準化」とか言ってた連中は、
気付いたらみんな消えていた。そいつらの作ったやり方を何も考えずに踏襲しているだけの集団に、俺のクランはいつしか変わっていた
ゲームはやめよう、と思った。就職をしないとまずい気がして、ハローワークにとりあえず行く事にした
88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 01:03:27.90 ID:VeSzCuUS0
中卒で就ける求人は非常に限られているらしい。いわゆる土方仕事、清掃の仕事、警備の仕事などを薦められた
当時はまだリーマン・ショックの前で景気も良く、仕事は正社員でもいくらでもあった
だが、俺は自分がそんな力仕事に就けるわけもないと思い、ハロワを後にした
89:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 01:07:44.46 ID:VeSzCuUS0
色んな求人が並んでいたが、中でもNTT西日本の子会社の求人が目を惹いた
・学歴職歴不問
・コンピューター・ネットワークに興味のある方歓迎
・時給1400円~(能力に応じて)
・社会保障あり
こんな感じだったと思う。何よりも学歴不問というのが中卒の俺にはありがたかった
面接を受けるために、俺はチラシに書いていたホームページにアクセスして、
求人登録フォームに自分の年齢と簡単な自己PRを書いて送った
90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 01:11:47.05 ID:VeSzCuUS0
俺は自作PCをやっていたと自己PRに書いたおかげか、電話が掛かってきて面接に呼ばれ、
親に買ってもらった真新しいリクルートスーツを着て、履歴書持参で面接に臨んだ
面接では学歴については特に何も聞かれず、コンピュータに興味があるか?
紙に書かれたciscoのコマンドやCIDRで分割されたIPアドレスを見せられ、理解できるか等聞かれた
当然、俺は何も分からなかったが、面接を終えた夜に電話がかかってきて採用、と言われた
とにかく人が欲しい状態だったらしく、2週間後から出勤してくれと言われた
91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 01:15:54.53 ID:VeSzCuUS0
技術者を育成しよう、とかそんな感じの会社だった。時給はちゃんと1400円支払われ、残業も当然ない
俺はネットワークの事は何も分かっていなかったので、最初に派遣された職場は古い通信局だった
職員も爺さんしかおらず、仕事は定期的にコンピューターの画面を見てexcelのシートにデータを入れるのと、
施設の巡回だった。社会人経験が無いので最初は電話の取り方すら分からず、かなり叱られたが、
半年もすると慣れてきて普通に仕事をこなせるようになった
そのくらいで、派遣元の会社と面談があり、資格を何か取るようにと言われた
94:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 01:21:02.21 ID:VeSzCuUS0
何でも取るだけで受験料が全額支給され、報奨金が3万円と資格手当が月に1万円出るらしい
金に目がくらんだ俺は、業務が暇すぎる事もあって仕事中にCCNAの勉強を始めた
仕事は夜勤を任されるようになり、夜中は俺一人しかいないため、いくらでも勉強できた
たまに電話がかかってきて鍵をあけに行くだけの仕事なので、勉強以外にもひたすらNDSの世界樹の迷宮をやっていたが、
大体2カ月くらいでCCNAを取得できた。ちゃんと報奨金が貰えて、その年のランクアップ試験にも受かり、
時給制契約社員から月給制契約社員になった。ボーナスもちゃんと出るのは素晴らしかった
95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 01:23:50.18 ID:VeSzCuUS0
・夜中にたまに電話が掛かってきて鍵を開けに行く
・定期作業のexcelへの入力
・それ以外は深夜アニメを見ているか携帯ゲーム機
という状態だったが、職場の爺さん達には最初こそ怒鳴られたが可愛がってもらい、
よくお菓子を貰ったり、煙草の吸い方を教えてもらったりした
気が付くと仕事を始めてから1年がたち、俺は23歳になっていた
97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 01:28:42.28 ID:VeSzCuUS0
そこはNOC- Network Operation Centerと呼ばれる施設で、ネットワークの監視や障害の対応をしているらしい
俺は今の職場が気に入っているし断ったが、派遣元の上司いわく、今いる通信局は交換機のIP化に伴い、
機器を大幅に削減するから俺の仕事はなくなるのだという
仕方ないので、俺はその新しい職場に通う事になった
お別れの日、一番厳しかった主査の爺さんが目を潤ませて頑張れよ、と肩を抱いてくれたので、
俺もつられて泣きそうになった。今でもその爺さんたちとは年賀状のやり取りをしている
99:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 01:35:08.49 ID:VeSzCuUS0
中央に巨大なスクリーンが置かれ、エヴァのネルフ本部のような状態の広い部屋の中に、
オペレーターの座るデスクがいくつも並んでいる
スクリーンには担当区域のNTT回線の状況が映し出され、回線断があるとアラートが表示され、
トラフィックの状況がグラフで延々と流れている。それまでの鍵と、ダイヤル式の電子ロックで開け閉めしていた扉の代わりに、
職員には光彩/静脈の認証と、IDカードが配布されていた
前の職場のような爺さんたちは一人もおらず、緊迫した空気の中でみんな仕事をしている
俺の最初の仕事は、何かをする事ではなく、EGPs – Exterior Gateway Protocol – BGPについて覚える事だった
ASと呼ばれるIGPクラスタを束ねているBGPでネットワークの切り替え等の制御をおこなっているため、
これが理解できていないと仕事にならないのだという
102:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 01:41:59.11 ID:VeSzCuUS0
回線の切り替えに伴う作業や工事手配を行う仕事で、酷い時は一日中とにかく電話しまくり、工程表を作って管理しないといけない
相変わらずNTTなので仕事は交代勤務の残業ゼロ、年12日の有給は100%消化(半強制)だったが、
今までの仕事と給料は変わらないのにキツさが跳ね上がったので、俺は正直辞めようかと思った
だが、そのころから興味の出ていたバイクを買うために、なんとか頑張って務めた
1年が過ぎ、2008年になる頃、読んでいたバイク雑誌にkawasakiの新モデルの情報が書かれていた
250ccでフルカウルらしい。二輪免許も取り終えたので、俺はそれを買う事にした
106:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 01:47:51.89 ID:9PnsJF5x0
┻┳|・ω・)みてるよ
┳┻|⊂ノ
┻┳|J
┳┻|
107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 01:49:35.33 ID:VeSzCuUS0
俺は納車されたばかりの250ccニンジャでツーリングに出かけた。とりあえず名古屋にでも行こうかと思い、
大阪から京都の木津に行き、そこから伊賀越えのコースを取って津まで抜け、後は海沿いを走って名古屋に行く
教習所のCB400SFと違い、250Rは非常に乗りやすく、速いバイクだった(当時はそんな気がしていた)
日頃の鬱憤を晴らすべく俺はアクセルを回しまくり、名古屋で一泊すると、次は東京でも行くかと思い東海道を走りだした。
岡崎を超えたあたりで、右側の車線を走っていた俺に、横から黒いワンボックスが近づいてきた
相手はミラーも何も見ず、ウインカーも出さずに車線変更をしてきたのだった
俺は慌ててブレーキを掛けたが、当時は運転技術が未熟で、パニックブレーキ状態になってしまった。
前輪がロックし、気付いた時には身体が宙を舞い、新車だったバイクが眼の前を滑って行った
111:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 01:54:12.50 ID:VeSzCuUS0
どうにか生きているみたいで安心した。命に別条はなかったが、まともなライジャケやプロテクターを装着していなかったため、
俺の腕は片方が折れて、脚も複雑骨折していた
最初は馬鹿な事に、自分の身体よりもバイクがどうなったかを気にしていた
入院は一ヶ月ほど必要で、職場にはしばらく行けない。まあ誰かが代わりをやるだろうと思ってはいたが、
そんなある日、病院に派遣元の上司が訪ねてきた
俺は素直に、リハビリ等で2~3か月は職場には戻れない事を告げたが、
上司が持ってきたのは解雇通知だった。契約社員だった俺は、次の契約更新が無いと宣告された
113:おちん●んBelong:2013/02/22(金) 01:55:33.40 ID:D+3R1YO90
116:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 01:57:25.79 ID:VeSzCuUS0
仕事を探そうかと思った矢先に、アメリカのリーマン・ブラザースが破綻した
リーマン・ショックだった。IT業界に存在していた大勢の派遣・契約社員はあらかた解雇され、
おれのような中卒で、ロクなスキルも持たない人間が仕事を探せるようなご時世ではなくなった
テレビではトヨタの期間工が大量に解雇され、俺はその年の暮れを2年ぶりに無職で迎えた
バイクはほぼ全損に近く、500kmも走っていない状態で廃車になった
117:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 01:58:42.49 ID:88sacaBy0
119:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 02:02:21.98 ID:VeSzCuUS0
118:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 02:01:26.20 ID:VeSzCuUS0
中卒の俺が戻れるとしたらIT業界しかないが、景気は一向に回復する兆しを見せない
俺もそろそろ24歳になっていた。昔のネトゲ廃人だった頃は安易に自殺を考えていたが、
仕事をして、働いて金を貯め、新しいバイクを買いたかった
2010年になる頃、何気なくリクナビで求人を探していると、怪しげな会社の求人が目に付いた
120:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 02:03:35.02 ID:9PnsJF5x0
ゆっくりでいいよ
121:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 02:05:21.23 ID:VeSzCuUS0
NTTで懲りたはずだったが、給料が割と良く、おまけに学歴不問だった
面接を受けた会社は余裕で50社を超えており、俺はいつものようにスーツ姿で面接に行った
学歴を突っ込まれ、前の仕事を辞めた理由がバイク事故での解雇だと白状するとボコボコにされ、
俺の全人格と職歴を全否定に次ぐ否定をされ、途中で半泣きになったが、
一週間後にリクナビにメールが来てていた
一次選考を通過したらしい
123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 02:10:57.93 ID:VeSzCuUS0
面接の前日に呼び出されたので喫茶店に行くと、ニヤニヤした顔で一次面接の面接官が座っていた
「お前あかんわー。その若さで事故って解雇されたらほんま、あかんやろ」
と話を切り出され、
・お前は筆記試験(専門知識/SPI)の成績が応募者で一番良かった
・応募は100人くらい来たが、一次を通したのはお前ともう1人だけ
・学歴を気にしすぎ。コンプレックスはいまさら持つな
・とにかくその早口は直せ。テンパると早口になるから相手を焦らせる
など色々言われた後で、「お前を使いこなしてやるから二次受かって来いよ」と励まされた
二次面接も相変わらずの圧迫気味だったが、なんとか答えられたように思う
また二週間ほどして、内々定の通知が来た
127:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 02:19:11.13 ID:VeSzCuUS0
法人向けの営業/NW構築を半々くらいにやっている部署だった
リーマン後で仕事がそんなに無い状態で、リーマン前は上司曰く「月60時間残業は軽かった」らしいが、
仕事はほぼ定時だった。法人向けの大規模なNW構築の案件がいくつか残っていたので、それを片づける毎日・・・。
上司と周囲にひたすらダメ出しされ、プレゼンの方法や客先との案件の進め方をスパルタでしごかれた
また、昔取得していたCCNAの上位資格であるCCNPも取得。これからの時代は無線だ!と上司が叫んでいたので、
国家資格の一陸特や、元請けとして工事する事もあると言うので、工事担任者DD1種も取得した
最初の試用期間6カ月は契約社員だったが、ついに人生初の正社員として雇ってもらえた
少しずつだが景気は回復してきており、入社1年後には案件も増えてきたのだが・・・。
130:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 02:28:24.20 ID:VeSzCuUS0
2011年3月11日が納車だった。ホンダのCBR600RR、国内仕様、前回の教訓を生かしてABS付き
ホンダのディーラーいわく、フロントブレーキを握りこんでもABSで転倒はしないらしい
納車前の夜は楽しみで楽しみで眠れなかった。有給を取り、金土日と三連休でゆっくり楽しむつもりだった
朝の10時にバイク屋で車両を受領し、慣らしにと普段社用車を運転している道を走る。
14時ごろに日本橋の電子部品屋に立ち寄った時に、例の地震が起こった
すぐに上司から電話が掛かってきて、安否確認の後で会社に戻って待機しろと命令が来た
大阪は大した事が無かったが、東京のネットワーク機能が麻痺する可能性があり、
システムの大阪への切り替えを検討する必要があるため人手を確保したいとのこと
俺はバイクを自宅に置くと、親に連絡だけして出社した
とはいっても構築部隊で、日頃ルーターやスイッチを入れて設定しているような俺が何かできるわけもなく、
同僚とテレビを見ながら原子炉の状態をずっと見ていた
133:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 02:35:42.06 ID:VeSzCuUS0
特に俺の抱えていた某メーカーのネットワーク再構築は構成を決定し、config設計段階まで進んでいたにも関わらず、
無期限の凍結になってしまい、これまでかけた工数がすべて無駄となってしまった
しばらくは案件が残った同僚のサポートに回っていたが、ついに上司から話を切り出された
「お前、ちょっと別の会社出向してこんか?」
その会社は、当時話題になっていた某電力会社のネットワーク系子会社で、元々地震のあるなしに関わらず、
比較的若手の俺を4月から出向させるつもりだったらしい
本当かよ、と思いながらも出向する事になった
職場は勤めているビルから100mほど離れたところで、昼休みに寂しかったら戻ってこいだのとさんざんネタにされ、
非常に近い職場異動をする事になった
137:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 02:42:35.91 ID:VeSzCuUS0
前の担当者が欝で辞めたので(よくある事だ)無理解極まりないユーザーの滅茶苦茶な要求をいなしながら、
軽く手綱を取って軟着陸させ、その上で構成と設計を行う仕事
二か月ほど経ったある日、NTTの大阪のデータセンターに行く事になった
住所を見ると、自分が最初に勤めていた通信局だった。配線ベンダーにNW機器を運ばせて現場入りすると、
そこは小さなデータセンターになっていた。エレベーターや廊下は昔、夜中に鍵を開けに行った時と変わらなかったが、
爺さんたちと喋ったり、煙草の吸い方を教えてもらった事務所は完全に潰され、植木鉢とソファーが置かれていた
涙が出そうになった。巨大な交換機が置かれていた部屋にはラックが立ち並び、
完全に別の建物と化している。勤めている人間の顔も昔とは違っており、爺さんたちはもう退職したのか、
黒いジャンパーを着た見慣れないおっさんが受付をやっていた
141:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 02:46:27.02 ID:MAcJ9v9W0
144:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 02:51:45.61 ID:VeSzCuUS0
今日になるまで黙っているが、ツーリング途中に大阪のすき家に立ち寄った時の事だ
カウンターでサラダと牛丼(並)を頼むと、どこかで見た顔の店員が水を運んできた
高校生の時に、俺を苛めていたクラスメートだった
黙っているのも何なので、「よう」と挨拶すると、相手は不審そうな顔をしてきた
「○○高校の○○じゃない? 俺、途中で学校やめた××なんだけどさ」
というと、相手は一瞬、きょとんとした顔をして、ああ、と小さくつぶやいた。
「久しぶり。ゼンショーの社員やってんの?」
と聞くと、相手はいや、バイトですよと言って、黙って牛丼とサラダを運んできた。
その時の俺の感情を説明するのは難しい。おそらく社会的な立場も年収も俺の方が上だが、
それで昔、自分を苛めていた相手を馬鹿にするというよりは、少し情けなくなった。
――俺をあんだけ苛めていたくせに、お前はすき家のバイトかよ。
何となくそんな感じだ。そいつは最後に「また来てね」と言って割引券をくれたが、
俺は店の外で千切って捨てた。風に吹かれて、割引券が宙を舞っていった。
151:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 03:01:35.80 ID:MAcJ9v9W0
149:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 02:58:20.38 ID:6CKRTfN00
152:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 03:05:08.97 ID:VeSzCuUS0
次は無線LANを本格的にやるらしい。スタンドアロンではなく、コントローラベースの大規模無線LANだ
とりあえず某メーカーが、オフィスのフリーアドレス化を行いたいらしく、案件定義から参加してくれとのこと
俺の提示した案はことごとく蹴られ、紆余曲折の末得体の知れないシステムになってしまったが、
まあまあ仕事は順調に進み、機器設置後のサイトサーベイまでこぎつけた。1ヶ月間の試行で気を良くした先方のシス担が、
全社に展開すると言いだしたので俺の2012年はそれで終わってしまった。
バイクは走行距離5000kmを超えた。一度、11月に阪奈のヘアピンで倒し込み過ぎてスリップし、
カウルが割れて左のレバーが折れたが、幸いにしてhit-airまで装備していた俺は無傷だった
2013年は良い年である事を願いたい
今年の夏にバイクを買い換える(デイトナ675)予定だが、天変地異がまた起こらない事を願うばかりである
以上、ここまで読んでくれてありがとうございました
154:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 03:06:51.89 ID:EgoClhhY0
158:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 03:13:10.11 ID:oiDf5eM10
俺も頑張るわ
160:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 03:15:12.18 ID:VeSzCuUS0
159:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 03:14:45.42 ID:9PnsJF5x0
161:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/22(金) 03:21:23.33 ID:Zu1jPvdN0
馬鹿にしようかと思ったらまともだったのでコメントに迷ったわ
ネットワークエンジニアとしてちゃんとやってるようで何よりだな
おもしろかった
今どうしてるだろうか
したたかにいきて
今どうしてるだろうか
したたかに生きていてほしい
近状はわからないけど
母ちゃんも安心しただろ
ニートでリネⅡやってたりで親近感があった。
すごく面白かった。重みのある文章だった。
続きを読みたいのう