引用元:失踪して20年記念に立ててみた
1:名も無き被検体774号+ : 2019/04/11(木) 20:01:23.66 ID: ID:3Mqt/BFI0.net
2:節虎☆ : 2019/04/11(木) 20:01:51.76 ID: ID:4askWANWa.net
3:名も無き被検体774号+ : 2019/04/11(木) 20:02:12.84 ID: ID:3Mqt/BFI0.net
4:名も無き被検体774号+ : 2019/04/11(木) 20:10:21.21 ID: ID:Begvg1Hnr.net
とある政令指定都市に生まれ育った1。家庭は決して豊かではなく、ハッキリ言ってビンボーだった
5:名も無き被検体774号+ : 2019/04/11(木) 20:12:23.55 ID: ID:Begvg1Hnr.net
6:名も無き被検体774号+ : 2019/04/11(木) 20:15:11.74 ID: ID:Begvg1Hnr.net
7:名も無き被検体774号+ : 2019/04/11(木) 20:20:19.08 ID: ID:Begvg1Hnr.net
8:名も無き被検体774号+ : 2019/04/11(木) 20:23:35.92 ID: ID:Begvg1Hnr.net
9:名も無き被検体774号+ : 2019/04/11(木) 20:27:14.48 ID: ID:Begvg1Hnr.net
高校の卒業式を終えて3日、そろそろバイトでも探すか…などと考えていた1には渡りに船だった
11:名も無き被検体774号+ : 2019/04/11(木) 20:30:41.76 ID: ID:Begvg1Hnr.net
「ほな明日六時半集合な」言い残してオッサンは去って行った
12:名も無き被検体774号+ : 2019/04/11(木) 20:33:52.30 ID: ID:Begvg1Hnr.net
13:名も無き被検体774号+ : 2019/04/11(木) 20:36:15.35 ID: ID:Begvg1Hnr.net
14:名も無き被検体774号+ : 2019/04/11(木) 20:41:48.76 ID: ID:Begvg1Hnr.net
15:名も無き被検体774号+ : 2019/04/11(木) 20:44:30.69 ID: ID:Begvg1Hnr.net
16:名も無き被検体774号+ : 2019/04/11(木) 20:48:54.00 ID: ID:Begvg1Hnr.net
「ほな行こか」ジジィは1を導く様に歩き出した
17:名も無き被検体774号+ : 2019/04/11(木) 20:54:03.92 ID: ID:Begvg1Hnr.net
「これはこうして使うんやでぇ」みたいな感じで現場内を一回りした
18:名も無き被検体774号+ : 2019/04/11(木) 21:01:23.28 ID: ID:Begvg1Hnr.net
どないやなんて言われても、こちとらは未経験でありチェリーちゃん。しかし、原寸大のプラモデルを造っている様な感覚はあった
20:名も無き被検体774号+ : 2019/04/11(木) 21:06:06.44 ID: ID:Begvg1Hnr.net
21:名も無き被検体774号+ : 2019/04/11(木) 21:11:35.41 ID: ID:Begvg1Hnr.net
当時は所謂バブル期であり、その恩恵を1も受ける事となった。30万円近くの給料を受け取った1が狂わない訳が無い。
翌日、当たり前の様に仕事を休んだ
23:名も無き被検体774号+ : 2019/04/11(木) 21:18:41.26 ID: ID:Begvg1Hnr.net
1が働き出して半年後、近所のオッサンの息子が同じ職場で働き出した。そしてその3年目、1の給料よりオッサンの息子の給料のほうが多いという事実が発覚したのだ
24:名も無き被検体774号+ : 2019/04/11(木) 21:30:32.01 ID: ID:Begvg1Hnr.net
「どないなっとんねんワレ」
「オレのほうが仕事出来るし、オレのほうが仕事早いやないか」
狼狽えるオッサン。
「アイツは結婚したから家族手当云々…」
言い返す1。
「職人の値打ちは給料で決まるんとちゃうんかい?」
「オレの仕事がアイツより安いって事か?」
25:名も無き被検体774号+ : 2019/04/11(木) 21:35:51.50 ID: ID:Begvg1Hnr.net
「気分悪い。オレが大事かアイツが大事かハッキリせえ」
オッサンは無言。
「判った、今日までお世話になりました」
その場で退職した
26:名も無き被検体774号+ : 2019/04/11(木) 21:43:40.20 ID: ID:Begvg1Hnr.net
何故かと言うと、当時の1は給料を現金で貰っていて、その管理を母親に任せていたのだ。毎月自分の小遣いと、実家に手渡していた以外のお金は、母親に預け、銀行に入金してもらう…筈だったのだ
27:名も無き被検体774号+ : 2019/04/11(木) 21:48:37.70 ID: ID:Begvg1Hnr.net
母親に「仕事辞めた」と伝え、「オレの金ナンボある?」と尋ねた。
返ってきた返事は
「一銭も無い」
28:名も無き被検体774号+ : 2019/04/11(木) 21:49:02.08 ID: ID:SR1nwP360.net
33:名も無き被検体774号+ : 2019/04/11(木) 22:00:13.77 ID: ID:Begvg1Hnr.net
「毎月家に10万円と、オカンに小遣い5万円渡してたのに、オレの金無いってどういうこっちゃねん?」
母親は半泣きになりながら言った。
「パチで全部負けた」
35:名も無き被検体774号+ : 2019/04/11(木) 22:06:58.23 ID: ID:Begvg1Hnr.net
発覚した際に、ギッチギチに〆てやったにも拘らずの再犯。
思わずぶん殴りかけた
39:名も無き被検体774号+ : 2019/04/11(木) 22:17:03.19 ID: ID:Begvg1Hnr.net
実家を出る決意をした。しかし先立つモノが無い。しかも無職。人生オワタ…となりかけた時、以前現場で知り合った人から連絡があった
40:名も無き被検体774号+ : 2019/04/11(木) 22:27:16.09 ID: ID:Begvg1Hnr.net
何ヶ月ぶりに聴いたTさんの声。
「お久しぶりです。最近仕事辞めて無職なんですよ…」
Tさんは当時のオレから見たら職人の見本の様な人だった。何故かオレを可愛がってくれた。まだ満足に仕事も出来なかったオレを。
「なんや、プータローかい?オレとこ来るか?」
42:名も無き被検体774号+ : 2019/04/11(木) 22:40:53.09 ID: ID:Begvg1Hnr.net
「TさんがいいのならオレはTさんの下で働きたいです」
笑いながらTさんが言った。
「よし、決まりや。オレの家知ってるやろ?今から来いよ」
「オマエに仕事のイロハを教えたるわ」
47:名も無き被検体774号+ : 2019/04/11(木) 23:55:01.97 ID: ID:l1943bNb0.net
49:名も無き被検体774号+ : 2019/04/12(金) 02:10:31.37 ID: ID:LqaBAEmL0.net
もう少し上だろう
54:1 : 2019/04/12(金) 21:50:30.36 ID: ID:+Tl/l//hr.net
「こんばんは、1です」
笑顔で答えるTさん。
「おう、久しぶりやな」
「まあ入れや」
1よりも四歳年上のTさん宅は、相変わらず立派な家だった
56:1 : 2019/04/12(金) 22:01:11.22 ID: ID:+Tl/l//hr.net
促されるままにソファに腰掛ける1。
「いきなりやけど、オマエ日当ナンボでやってたんや?」
「直球ですね、18ですわ」
1は答えた。
「まあ妥当やな。そやけどオマエはまだまだ伸びるやろ…」
Tさんが言った。
「自分の事はよう分かりませんわ」
「2万やる。その代わりオレのやり方に染まれよ」
1の返事に被せる様にTさんが言った。
57:1 : 2019/04/12(金) 22:11:14.88 ID: ID:+Tl/l//hr.net
1の憧れの人だった。何度か応援の現場で一緒に働いたが、まず仕事が早い。丁寧。人の使い方が上手い。なおかつアタマも切れる。正に職人の最高峰。因みに1は未だにTさんより優れた職人を見た事は無い。
「解ったよ、ほな明日から来いよ」
1は深々と頭を下げた。
58:1 : 2019/04/12(金) 22:24:41.23 ID: ID:+Tl/l//hr.net
「何や?」
「実はオレ、バンドやってるんです」
「ほう、それで?」
「月1か月2で仕事に穴空ける事になるんですけど…」
「まあエエんちゃう?前もって声掛ければ」
「ありがとうございます」
「仕事の話は終わり。晩メシ食いに行こか」
話は決まった。
翌日から1はTさんの弟子になった。
59:1 : 2019/04/12(金) 22:33:48.09 ID: ID:+Tl/l//hr.net
「化け物ばっかりやんけ…」
1が居たグループは、此処に比べればまるでシルバー人材センターの様だ。
「オレ付いて行けんのかな…」
少し不安になった。
60:1 : 2019/04/12(金) 22:44:52.32 ID: ID:+Tl/l//hr.net
『今日はここをやった』
『明日はここからここまで』
『ここをやる時はこうやった方が…』
負けたくなかった。誰にも。負けない為にはまず追い付かないといけない。
だから1は考えた。ロクに読めない図面も見た。
その頃だったと思う。初めて仕事してる夢を見たのは。
61:1 : 2019/04/12(金) 22:56:42.63 ID: ID:+Tl/l//hr.net
このグループのヘルメットを被っている以上、下手は打てない。Tさんの名前に泥を塗る訳にはいかない。
プレッシャーを感じつつ一週間ほど応援に行った。
最後の日、仕事終わりに応援先の親方が声を掛けてくれた。
「ありがとう、助かったよ」
「Tさん所はエエ若い衆抱えてて羨ましいわ」
その言葉を聞いた1は思った。
『オレも一人前の職人になれたのかな…』
63:節虎☆ : 2019/04/12(金) 23:05:01.94 ID: ID:2wjtVpoza.net
テゴから2万って単価めっちゃいい
東京はそんなもんなのか
67:1 : 2019/04/13(土) 07:20:47.28 ID: ID:NgIyK3bXr.net
東京じゃないよ、某政令指定都市とだけ…
あの頃はまだバブル期の残り香があったから、無駄に単価が高かったのよね
65:名も無き被検体774号+ : 2019/04/13(土) 00:21:53.00 ID: ID:7kQHqa/Z0.net
Tさんとこに入ったとき、まさか住み込み?
67:1 : 2019/04/13(土) 07:20:47.28 ID: ID:NgIyK3bXr.net
失踪はもうちょい後の話
このスレはオレの防忘録みたいなモノだから、ちょっと余計な事も書いてみた
66:1 : 2019/04/13(土) 07:11:35.76 ID: ID:NgIyK3bXr.net
時間まで少し書く
Tさんの元で働き出して、自分のスキルがみるみるうちに上がって行くのが実感出来た。いつしか図面も読める様になった。ほとんどの作業は一人で出来る様になった。最初は『化け物』と思ってた他の職人達にもついていける様になった。しかしまだまだ足りなかった。
『絶対王者』Tさんの仕事には到底敵わない。
オレには何が足りないのか…
自問自答の日々が始まった。
68:名も無き被検体774号+ : 2019/04/13(土) 08:06:41.81 ID: ID:MdgIzZ1EM.net
69:名も無き被検体774号+ : 2019/04/13(土) 14:38:58.03 ID: ID:u1/JHWzt0.net
72:1 : 2019/04/13(土) 18:46:21.90 ID: ID:5bADLFK9r.net
職種は明かすと身バレに繋がるかもだからカンベンな
姿消したオトコだからね
年齢は想像に任せるよ
今出先だから帰って落ち着いたらまた続き書くよ
75:カムパネルラ : 2019/04/14(日) 00:46:24.23 ID: ID:euz0UaQla.net
76:名も無き被検体774号+ : 2019/04/14(日) 02:23:01.56 ID: ID:yw1vZrJaM.net
最近ほんと多いよな
ここはそうならないことを祈るばかり
78:1 : 2019/04/14(日) 10:31:31.03 ID: ID:M1T6LThyr.net
休憩時間長めにとるから、都度上げる
1は考えた。決して頭は良くないが、足りない頭をフル回転させて考えた。
Tさんの仕事を盗み見た事もある。
そこで出た結論は…
『抜ける所は抜く、見える仕事は丁寧に』
今考えれば至極当然。しかし当時の1には、『叩いてナンボ』『手間を掛け過ぎるのはカネをドブに捨てているのと同義』という考えに辿り着かなかった。
それを実践する様になってからの1に対してのTさんの言葉は未だに胸に残っている。
「オマエもやっとカネの稼ぎ方を覚えたな、もう大丈夫やわ。日本中何処へ行っても喰える」
79:1 : 2019/04/14(日) 10:46:54.07 ID: ID:M1T6LThyr.net
1は所謂『恥かきっ子』で、すでに両親は60半ば。兄と姉が居るが、既に姉は嫁に行き、兄のほうはたまに実家に帰ってくるが、何をしているのかさっぱりわからない。という理由からも、毒親とは知りつつも見捨てる事は出来なかったからだ。
一週間に2、3度程仕事帰りに実家に顔を出し、両親の無事を確認して部屋に帰る…という生活になった。
81:1 : 2019/04/14(日) 12:45:17.47 ID: ID:M1T6LThyr.net
父親は半分隠居生活、母親は専業主婦の為、実家には収入がほとんど無かった。必然的に1が両親の生活費を出す事になる。なおかつ1の一人暮らしの為の費用も掛かる…給料は劇的に増えたものの、出費も劇的に増えた。
毎月給料の半分は母親に手渡していた。
そこから家賃、食費、光熱費、携帯、ガソリン代、クルマの維持費……1の手元にはスズメの涙ほどのカネしか残らなかった。
82:1 : 2019/04/14(日) 12:52:17.03 ID: ID:M1T6LThyr.net
高額な工具は壊れた時には、実家に渡してたカネから理由を付けて出していた。
母親はそれが不満だったのだろう…
83:1 : 2019/04/14(日) 15:10:27.85 ID: ID:M1T6LThyr.net
「今月苦しいわ…」などと愚痴りだす。
「オレも苦しい、兄貴に頼めよ」と言うと
「アイツは当てにならんから…」などと言う。
「ほなネーチャンに言えや」と言うと、
「あの子は嫁に行ったから…」と言う。
いつもその繰り返しだった。
84:1 : 2019/04/14(日) 15:22:32.46 ID: ID:M1T6LThyr.net
「もしもし、1やけど何かあったんか?」
母親は言った。
「帰りに寄ってくれ、その時に話すから」
イヤな予感がした。決まってそんな予感は当たる様になっているのが世の常だと思う。
仕事帰り、実家に寄った。
「お帰り」母親は言った。父親は居ない。何処かへ出ているらしかった。
「話って何やねん」1はいきなり切り出した。
「もうお金無いねん、少し貸してくれへんか?」
目眩がした。
85:名も無き被検体774号+ : 2019/04/14(日) 17:02:12.56 ID: ID:yw1vZrJaM.net
86:1 : 2019/04/14(日) 19:15:08.59 ID: ID:XqHjTjK4r.net
「3万円だけでいいから、お願い」追い討ちを掛ける母親。
「何に使ってカネ無くなったんや?」1の問いに返ってきた返事は…
無言。
更に問い詰める1。
「何でカネ無いんや?」
「………パチで負けた」
溜め息が出た。
今度は1が無言になった。
最早思考は停止している。何と言っていいのかすら判らない。
そして母親の追撃。
「貸してくれへんかったら生活保護申請せなアカン…」
87:1 : 2019/04/14(日) 19:21:27.55 ID: ID:XqHjTjK4r.net
まさかの生活保護とは…身内としては余りに情けな過ぎる。こればかりは阻止せねば……1は折れた。
「わかった、明日持ってくる」そう答えて1は実家を後にした。
1の後ろ姿を見ながら、母親はしてやったりの顔をしてた事だろう。
88:1 : 2019/04/14(日) 19:22:33.23 ID: ID:XqHjTjK4r.net
今日はもうカンベンして…
92:節虎☆ : 2019/04/14(日) 20:02:19.51 ID: ID:7QI0OJTrd.net
過去の辛いこと思い出して吐き気とかするんだな。
俺なんか笑い話にしかならんわ
94:名も無き被検体774号+ : 2019/04/14(日) 20:04:24.77 ID: ID:O9+00D6r0.net
俺は本当に辛い記憶で吐き気がするのは分かるよ
95:節虎☆ : 2019/04/14(日) 20:05:27.02 ID: ID:7QI0OJTrd.net
そっかー人それぞれだね
99:カムパネルラ : 2019/04/14(日) 21:51:13.97 ID: ID:XSAMLKOya.net
102:名も無き被検体774号+ : 2019/04/14(日) 22:47:43.31 ID: ID:jyhSLA0h0.net
書き留めろよ
107:1 : 2019/04/16(火) 19:31:13.43 ID: ID:9A3Mpey1r.net
200レスくらい使ってイイからオマエが女に振られた時の話でも聞かせてくれよ
どうせヒマだろうから3時間でできるやろ?全部書き溜めて貼れよ
オレは日中仕事してるし、夜は持ち帰りの仕事やら付き合いやらで忙しいんだわ
人が立てたスレでワガママ言ってるヒマあるならさっさと宿題やって牛乳飲んで寝ろ
109:節虎☆ : 2019/04/16(火) 20:29:08.75 ID: ID:SfBVViIqd.net